広がりを見せているらしいけど……「職場積立NISA」って何?
職場を通じてNISA(小額投資非課税制度)が提供される「職場積立NISA」が広がりを見せています。これは、企業と金融機関が契約し、職場単位でNISAの口座を開いたり、投資教育を受けたりできるサービスのこと。金融庁が2016年にも導入することを発表したほか、日本経済新聞の調べによれば、約180社が導入を決めているそうです(15年9月24日時点)。 NISAが始まって1年が経ちますが、なぜ職場への普及に力を入れているのでしょうか。また、通常のNISAとの違いはあるのでしょうか。その背景と特徴を追ってみましょう。
職場積立NISAに力を入れる理由
日本証券業協会が事務局となっているNISA推進・連絡協議会は、職場積立NISAの目的について、「企業の社員の資産形成を手助けし、福利厚生の増進を図ること」としています。また、金融庁によれば、15年6月末時点でのNISAの口座開設数は約921万件で、買付け額は約5.2兆円。 口座を開いても使われていないケースが多く、年代別の比率では20代が2.6%、30代が7.8%と、若年層による活用の遅れが目立っています。職場積立NISAの導入をきっかけに、若い世代のNISA利用を促す効果も期待されています。
職場積立NISAの特徴
そもそもNISAとは、個人投資家のための税制優遇制度です。職場積立NISAは通常のNISAと同じく、年間100万円(16年からは120万円)までの投資額を上限に非課税投資枠が設定され、株式や投資信託の売却益などが5年間非課税になります。職場積立NISAは、給与や賞与などから天引きで定時定額、または賞与からの天引きで臨時に拠出した資金によって、資産運用を行います。 つまり、職場積立NISAとは、金融機関と契約した企業が社員のNISA取引を一括し、金融商品を購入するシステムなのです。ただし、すでに個人でほかの金融機関でNISA口座を開設している社員は、職場積立NISAの対象外になります。 また、この制度の利用には、NISAを含む十分な投資教育を社員が受けていなければなりません。そのため、金融機関は投資教育セミナーを実施するなど、普及を後押ししています。