与党過半数割れの〝混乱期〟こそ有効活用を 7日の両院議員懇談会、自浄作用試される自民党 首相に居座る石破氏の自己矛盾
国民民主は、年収が103万円を超えると所得税が発生する「年収の壁」の金額引き上げを求め、玉木雄一郎代表は10月31日、「全くやらないなら当然、協力できない。その時は予算も法律も通らない」と述べ、牽制(けんせい)した。
「103万円の壁」問題を含む国民民主の「手取りを増やす」という政策はぜひ実現すべきテーマだと思う。ただ、具体的財源をどうするかについて財務省側の抵抗が予想されるだけに、自民と国民民主の間に政調レベルの常設機関を設け、実現に向けた丁寧なやり取りの機会を増やすべきだったと感じる。
多数派工作のプロセスとしても、自民は早い段階で28議席の国民民主に絞り込んだが、立憲民主党(148議席)や、日本維新の会(38議席)への働きかけをもっと真剣に進めてもよかったのではないか。
衆院選では、参政党が3議席、日本保守党が3議席を獲得するなど、新興政党が一定の支持を得た。これは既成政党に対する国民の忌避感が強まっていることを意味する。
各党が訴える政策の最大公約数をどうすれば実現できるのかという観点から、与野党が話し合う新たな枠組みやシステムをつくるべきではないか。過半数を占める政党がなくなったという混乱期を有効に活用してほしい。
■岩田明子(いわた・あきこ) ジャーナリスト・千葉大学客員教授、中京大学客員教授。千葉県出身。東大法学部を卒業後、1996年にNHKに入局。岡山放送局で事件担当。2000年から報道局政治部記者を経て解説主幹。永田町や霞が関、国際会議、首脳会談を20年以上取材。22年7月にNHKを早期退職し、テレビやラジオでニュース解説などを担当する。月刊誌などへの寄稿も多い。著書に『安倍晋三実録』(文芸春秋)。