「路線バスの乗り方がよくわからない」 こういう人は意外に多かった!
系統番号の混乱、観光客のストレス増加
もうひとつの重要な要素は「系統番号」である。実はこれも大きな問題である。また京都の例になるが、最近まで、京都市営バスと京都バスは17系統と73系統の2系統を持っていた。しかも、両社は1日乗車券で協調している。 最近、京都市営バスの17系統が7系統に、73系統が23系統に変更され、わかりやすくなった。しかし、多くの来訪者はバスのカラーリングなど気にしていない。京都バス17系統は三千院で有名な大原へ、73系統は苔寺への観光ルートだ。 京都市バス17系統は京都駅から銀閣寺へ、73系統は洛西ニュータウンという郊外の住宅地へ行く。これでまったく違う場所に連れて行かれたという人もいる。事業者ごとに系統番号をつけるのはよくない。しかも、経由地が微妙に違うのに、 ・特 ・臨 ・甲、乙、丙 ・A、B、C ・-1、-2 など、枝記号や枝番号を割り振るのは非常に煩雑だ。外から来た人にとっては、枝記号や枝番号を見ただけで不安になるに違いない。そのような質問に答えるのもドライバーの仕事だが、質問されないようにしてストレスを軽減することも大切だ。 せめて地域内で協力して系統バスの割り当て方法が重複しないようにし、次の段階として難しい枝記号や枝番号をなくす方法を検討したほうがいいのではないか。難解な枝記号・枝番号をなくすか、せめてすべて数字だけにすればわかりやすくなる。
求められる新基準
インターネット上のSNSなどのデータを拾ってみると、他にも 「運賃機が基本的に5000円札や1万円札の両替に対応していなかったので苦手だ」 という声も見かける。ここまでくると常識がないように思えるが、せめてバス事業者がユニバーサルデザインに努力すれば解決する場面は多い。 「バスに乗るのとはこういうことだ」 という基準ができれば、現場のドライバーの手間も省ける。そうすれば、バス事業者の時間と労力を節約できる。 ・事業者間の調整 ・事業者と行政との調整 も必要だが、市民にとってわかりやすく親しみやすいバス路線を一緒に作っていくことが、結果的に路線バスのファンを増やし、バス事業の持続可能性にもつながるのだ。
西山敏樹(都市工学者)