「夢がかなった」キャディー兄号泣にもらい泣き 新垣比菜6年ぶり復活V…19歳初Vも21年シード落ち
◆女子プロゴルフツアー ヨネックスレディス 最終日(2日、新潟・ヨネックスCC=6339ヤード、パー72) 首位から出た新垣比菜(25)=ダイキン工業=が4バーディー、2ボギーの70で回り、通算14アンダーで優勝した。2018年のサイバーエージェントレディス以来、6年ぶりの2勝目。雨の新潟で涙の復活Vを果たし、全米女子オープンで奮闘する「黄金世代」の盟友の渋野日向子(25)=サントリー=らにも負けない存在感を発揮した。3打差の2位は高橋彩華(25)=東芝=、蛭田みな美(26)=ユアサ商事=、穴井詩(36)=ゴルフ5=だった。 雨が強まった最終18番。新垣は約90センチのウィニングパットを沈め、6年ぶりに勝った。晴れやかな笑顔を見せた新垣の隣でキャディーを務めた兄・我如古夢蔵(がねこ・むさし)さん(34)はピンを握ったまま肩を震わせて男泣きした。兄の涙に妹はもらい泣き。「悔し涙は何度もありますけど、うれし泣きは人生初めて」とヒロインは少し恥じらいながら話した。 逸材がそろう1998年度生まれの「黄金世代」。そのひとりの新垣は19歳だった18年4月に早々と初優勝を挙げた。同年は賞金ランク23位で初シードを獲得。実力を兼ね備えた人気プロとなった。しかし成績は徐々に下降。20―21年の統合シーズン以降はシードを手放した。「『沖縄に帰りたい』と思いながらプレーしていました」と心情を明かした。 22年秋から青木翔コーチ(41)の指導を受け、少しずつショットが安定。「正しく足が使えるようになった。足が伸び上がらないようにするイメージ」と修正点の一端を明かした。 同週開催の全米女子オープンでは黄金世代の渋野、小祝さくら(ニトリ)らが健闘。「自分も頑張ろう、と思います」と謙虚に語る。プロゴルフの世界には「初優勝より2勝目の方がはるかに難しい」という格言がある。6年をかけて高い壁を乗り越えた新垣は、雨の新潟で輝いていた。(竹内 達朗) 〇…3年前から新垣のキャディーを務める兄の夢蔵さんにとって初優勝。その瞬間「夢がかなった」と号泣した。年の離れた異父きょうだいは大の仲良し。「性格は正反対。比菜はネガティブで、僕は超ポジティブ。比菜は『自分は下手だ』とよく言っています。昨日(1日)も63を出したのに自信を持てないでいた。スタート前に『まぐれで63は出ない。実力があるんだ。オレも隣にいるよ』と励ましたんですよ」と夢蔵さんは明かした。強豪の流通経大でフルバックだったラガーマンは心が熱く、優しく、力持ちだった。 ◆新垣 比菜(あらかき・ひな)1998年12月20日、沖縄・うるま市生まれ。25歳。9歳からゴルフを始め小学校6年時の2011年にダイキンオーキッドレディスでプロツアーに初出場。16年、日本ジュニア優勝。17年7月、プロテストに合格し、同年8月、NEC軽井沢72でプロデビュー(予選落ち)。18年4月にサイバーエージェントレディスで初優勝。ダイキン工業所属。165センチ、56キロ。趣味は映画観賞。
報知新聞社