【LiLiCoのこの映画、埋もらさせちゃダメ!】何事も自分ごとと思って行動することが大切と再認識しました『渇愛の果て、』
TV『王様のブランチ』で2001年から映画コメンテーターとして出演するほか、マルチに活躍されているLiLiCoさん。これまでも数々の映画をナビゲートしてきたLiLiCoさんに、「これは絶対に観逃してほしくない!」という“埋もらせ厳禁”な映画について語っていただきます。 【全ての画像】『渇愛の果て、』『お終活 再春!人生ラプソディ』
お近くの劇場でタイトルを見つけたら即ご覧ください!
5月もそろそろ終盤。話題作が次々と公開されていますが、そんな中だからこそ埋もれそうな2作品をピックアップしました。まずは現在東京・新宿のK'sシネマで5月24日まで上映中、6月から大阪で公開が始まる『渇愛の果て、』。 劇団「野生児童」を主宰する有田あんさんが、自身の劇団の配信演劇で発表した同名戯曲を、クラウドファンディングで映画化した作品です。 高校時代からの親友たちと「将来は絶対に子どもがほしい!」と言っていた眞希は、いわば世間一般で言われる“当たり前の幸せ”こそが最高だと思っている女性。やがて彼女は結婚し、妊娠。やさしい夫のサポートで順調な生活を送っていました。 これで夢が叶う、と思っていた出産予定日直前、体調が悪化し緊急入院。赤ちゃんの安否が心配されましたが、とりあえずは無事でホッとしたところ、産まれてきた子は難病を患っていました。その事実を受け入れる余裕がまったくなかった彼女は、親友たちにはそのことを打ち明けられず、一方の親友たちは彼女の出産記念パーティを計画……。と、ストーリーを象徴する絶妙なタイトルの問題作。 子の親になりたい夫婦や、それを目指す方々はたくさんいらっしゃると思いますが、理想や夢だけで追い求めていませんか? また、みなさん軽く使っている“普通の幸せ”って言葉の意味はどう捉えていますか? ほんと、この映画で描かれることはマジで一番のリアルだと思います。 妊活していることってなかなか言いにくいことだと思いますし、それについての味方が周りにいないことも多いと思います。眞希のように何かしらの障がいを抱えて生まれた子のことをオープンにするかしないか、ということについても打ち明けにくい、と感じている人は多いのではないでしょうか? いや、確かに難しいかもしれませんが、ここで大事なのは“普通の幸せ”を追いすぎている価値観と、他人ごとを自分ごととして捉えるか否か。同じような思いをしている人は多いんだから、その人の気持ちに立って、まずは考えてみましょうよ、ということをこの映画を観て気づいていただきたいんです。 とかく日本ではパーソナルな物事を隠し過ぎて、逆に社会生活が苦しくなることが多い気がします。生きづらい社会を作っているのは自分。正直に、素直に、そして誰かの手を借りることや、何事も自分ごとと思って行動することによって、やさしい社会になるんじゃないか。この映画で再確認しました。公開規模が非常に小さい作品なので、お近くの劇場でタイトルを見つけたら即ご覧くださいね。