「象が踏んでも」「多面式」筆入れ……懐かしの文具たちは今
“象が踏んでも壊れない”アーム筆入やロケット鉛筆、クーピーペンシル――。昭和生まれの人にとって懐かしい文房具です。昭和時代に登場し、一世を風靡したこれら商品は今も市販されています。平成の世になっても生き残る理由はどこにあるのでしょうか。 【画像】懐かしのゲーム「テトリス」色あせないアートとしての魅力を生みの親が語る
●アーム筆入
「アーム筆入」は、1965(昭和40)年にサンスター文具(東京都台東区)から発売されました。形状は箱型で、ポリカーボネート製のボディには赤や青の色がついています。 それまでの筆入は、セルロイド製とプラスチック製が主流でしたが、セルロイドは燃えやすく、プラスチック製は割れやすいという課題がありました。 これに対し、ポリカーボネートを使用するアーム筆入は耐熱性に優れ、最大1.5トンまでの荷重に耐えられるという強靭さがセールスポイント。1967(昭和42)年に「象が踏んでもこわれない」とのキャッチコピーで象が登場するテレビCMが放映され始めると、子どもたちの間で大きな話題に。CM放映から5~6年で販売数が年間500万本、売上高約15億円というヒット商品へと成長しました。同社マーケティング本部によると、2016年の年間販売数は1万本弱だといいます。
●ロケット鉛筆、クーピーペンシル
「ロケット鉛筆」は、ボールペンのような円筒状のボディに、鉛筆の芯がついたプラスチック製部品が多数入っており、芯が丸くなったプラスチック製部品を取り外して後ろから刺せば新たな芯が出てくる、という筆記用具です。鉛筆のように芯を削らなくてもすぐに尖った芯が使えるという点が利点です。 台湾で生まれた商品で、日本では1970年代にコクヨなどが販売。ロケットのような形状が子どもたちの人気を呼びました。1980年代から販売している文具会社のレモン(東京都北区)によると、売り上げのピークは1980年代前半から1990年代後半。コクヨなど撤退したメーカーがある中で、現在も小学生向けの丸軸タイプと、大学生から大人向けの六角軸タイプの2タイプを販売します。 1973(昭和48)年にサクラクレパス(大阪市中央区)から発売された「クーピーペンシル」もロングセラー商品です。従来の色鉛筆とは違い、全部が芯になっていて広い面積を塗りやすい点や、消しゴムで消せるという点、折れにくい点が特徴です。当初は小学生向けでしたが、現在は大人用ぬりえを楽しむ人々や幼児にも販売層が拡大しているそうです。