ザックジャパン 狙い通りのプレーで善戦
■上昇するきっかけは掴めていない 前線からのプレッシングも、サイドへの追い込みも、オランダがまだ動けていた前半はハマらないことが多かった。また、1失点目は内田、2失点目は長谷部の対応いかんでは防げる種類の失点だった。これがW杯本番だったなら、そのまま0-2で終わっていただろう。 立て直した後半も「オランダはそれほど良くなかった」と長谷部も言うように、オランダに助けられた面もあり、結局、勝ち切れなかったという厳しい現実が残る。「今日の後半、ある程度良かったからといって劇的に何かが変わるわけではない」と遠藤が話せば、今野は「ここから上昇していくきっかけは、まだ掴めていないと思う」と言った。 もちろん、山口螢が守備的な仕事をこなしながらパスを散らし、GK西川周作も攻撃の起点となるフィードを何度も披露。柿谷とポジションを争う大迫にゴールが生まれ、チーム内の競争が活性化したのは大きな収穫だ。 最悪の状態から抜け出し、今まで積み上げてきたスタイルでこの先も戦い抜く覚悟は定まったのかもしれないが、一喜一憂している場合でないのは間違いない。 19日の相手はFIFAランキング5位のベルギーとなる。フィジカルを前面に押し出し、日本が苦手とするタイプのチームに対しても、果敢にプレスを掛け、主導権を握ることができて初めて、オランダ戦後半の善戦に価値が生まれる。 (文責・飯尾篤史/サッカーライター)