陸自発砲1年、市民ら犠牲隊員悼む「真実知りたい」 守山駐屯地では追悼式
岐阜市日野南の陸上自衛隊日野基本射撃場で隊員3人が自動小銃で撃たれ死傷した事件は14日、発生から1年がたった。現場となった射撃場のゲート付近には花などが供えられ、市民らが突然命を奪われた隊員を悼んだ。名古屋市守山区の陸自守山駐屯地では、陸自第10師団による追悼式が開かれた。 この日、射撃場で訓練は行われず、隊員の出入りはほとんど見られなかった。正午過ぎに献花に訪れた元隊員の男性会社員(21)は、事件で亡くなった菊松安親1曹=当時(52)、陸曹長に特別昇任=や八代航佑3等陸曹=当時(25)、2曹に特別昇任=とともに訓練に励んでいたという。同じ部屋だった八代さんはテレビゲーム好きで、遊んでいるのをよく見せてもらったと振り返り、「2人ともとにかくいい人で、自衛隊で関わった人で彼らを嫌いな人はいないと思う。長い間勤務お疲れさまでした」と、静かに手を合わせた。 職場が近くのパート女性(56)は「事件のことは1日も忘れたことはない。事件に関しては被告の口から真実を知りたい」と話した。 名古屋市守山区の陸自守山駐屯地で開かれた追悼式には、犠牲者の遺族や自衛隊関係者ら約60人が参列した。 式は非公開で、陸自第10師団によると、約40分間行われ、出席者が黙とうをささげ、花を手向けた。 2人が所属していた第35普通科連隊長佐々木久史1等陸佐は、追悼の辞で「無念でならない。悲劇を二度と起こさない決意は決して揺らぐことはない」と強調。「遺志を引き継ぎ、一丸となって取り組んでいく」と誓った。 起訴状などによると、事件は昨年6月14日午前9時10分ごろに発生。当時自衛官候補生だった男(19)=強盗殺人の罪などで起訴=は訓練中、人を銃撃する目的で弾薬を強奪しようと考え、指示がないまま持っていた小銃に弾薬入りの弾倉を装てんして発射し、行為を見とがめた八代さんや弾薬係の菊松さんを死亡させたほか、原悠介3曹(26)に全治約2カ月の重傷を負わせたとされる。
岐阜新聞社