「この男に終身契約を」“野戦病院”のド軍をWS制覇に導いたロバーツ監督に現地記者から賛辞止まず「MLB史上最も偉大な監督の一人としての地位を固めた」
ワールドシリーズ(WS)第5戦、ロサンゼルス・ドジャース対ニューヨーク・ヤンキースの試合が現地10月31日、ヤンキー・スタジアムで行なわれ、ドジャースが4年ぶり8回目の世界一に輝いた。試合後には指揮官に対する称賛の声が現地記者から上がった。 【画像】メジャー7年目で初のワールドシリーズ制覇!左肩亜脱臼乗り越え、笑顔溢れるドジャースの大谷翔平! ドジャースは今季MLBデビューを果たした山本由伸やクレイトン・カーショウ、タイラー・グラスノーなどの先発陣をはじめ、ムーキー・ベッツらを怪我で欠く時期があった。そうした不安定な状況下でも着実に勝ち星を重ね、レギュラーシーズンではリーグ最高勝率を残したものの、シーズン終盤には主力のフレディ・フリーマン、ミゲル・ロハスらが負傷するなど、戦力が完全に揃っているとは言えない状況でWS制覇は難しいのではないか、との見方が強かった。 しかしナ・リーグ地区シリーズ(NLDS)でサンディエゴ・パドレスを3勝2敗で辛くも退けると、第6シードから勝ち上がってきたニューヨーク・メッツをナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)では伏兵トミー・エドマンがシリーズMVPを獲得する活躍をみせるなどチームの総合力の高さを発揮し、4勝2敗でWS進出を決めた。 ヤンキースとのWSでは第1戦から延長にもつれ込む接戦となったが、10回にフレディ・フリーマンが逆転サヨナラ満塁HRを放ち劇的勝利を収めた。勢いそのままに第2、3戦も連取し3勝0敗と絶対的なリードを築くと、第4戦は意地を見せたヤンキースに11得点の猛攻を許し敗れた。 ポストシーズンで注目されたのがデーブ・ロバーツ監督の采配だ。先発陣の戦力不足が課題としてあった中で、各シリーズでリリーフ投手主体で継投を組み立てるブルペンデーを上手く機能させてきた。 具体的にはNLDS第4戦でリリーフ投手ら8人を使い、それまで3試合で21得点を許していたパドレス打線を「0」に抑えた。NLCSでは第2戦で導入し3-7で敗れてしまったものの、2回時点で0-6とリードを奪われた時点で見切りをつけ、ブレント・ハニーウェルに3回を稼がせるなど今置かれた状況の中で試合を“捨てる”判断も早かった。この采配は4回終了時点で2-10と大量リードを奪われた第5戦でも見られ、この時もわずか3投手で試合を終えるなどダメージを最小限に抑えたことで第6戦に戦力を残すことができた。 WSでは第4戦でもブルペンデーを導入し敗れたものの、この試合必勝態勢だったヤンキースに6人の投手を使わせた一方でドジャースは4人のみだった。一方、第5戦では3回終了時点で0-5とリードを奪われていたが、5回に追いついたところで勝負所と判断し、アレックス・ベシア、ブラスター・グラテオル、ブレイク・トライネンら優秀なリリーフ投手を惜しみなく使った。その結果4回以降は最少失点でヤンキース打線を抑えることができた。 また、それらの選手の中では比較的長い2回1/3を投げさせ1安打3三振と素晴らしいピッチングを見せたトライネンについては試合後に「私は試合を少しゆっくりにしたかった。彼の目を見た。彼はそれを望んでいると言ったので、私は彼を信頼した」と続投を判断。結果として、ヤンキースの反撃を抑えることに成功している。 第4戦で比較的優先度の低いリリーフ投手を使っていたため、消去法だったという見方もできるが、結果的には就任9年目で2度目のWS制覇ということもあり、現地記者はロバーツ監督の手腕を絶賛。地元メディア『Dodgers Nation』のノア・カムラス記者は「デーブ・ロバーツはMLB史上最も偉大な監督の一人としての地位を固めた」とXに投稿し、以下の数字を紹介してその言葉を証明した。 ポストシーズン出場9シーズン中9回 ナ・リーグ西地区優勝8回 WS出場4回 WS優勝2回 レギュラーシーズン勝率.627 ポストシーズン勝利数56回(歴代6位) また、同メディアのダグ・マッケイン記者も「この男に終身契約を与えよう。 ドックにとって、ポストシーズンは傑作だった。彼はいつか殿堂入りするだろうし、彼が引退した後はドジャースが背番号30を着けることはなくなるだろう」と絶賛した。 構成●THE DIGEST編集部
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