死刑に立ち会った刑務官が明かす…朝の「死刑囚房」を襲った大パニックの真相
日本では死刑判決はどう行われ、死刑囚はどんな生活をして、死刑はどう執行されるのか。前編に引き続き、漫画家・一之瀬はちさんが実際に死刑に立ち会った刑務官に取材した『刑務官が明かす死刑の話』を取り上げる。 【漫画】刑場で「目撃される幽霊」…「選ばれし刑務官」しか入れない理由
死刑執行の言い渡しは「朝」
死刑は当日の朝9時までに言い渡され、即日執行となる。死刑の宣告は3~4人の刑務官が連れだって、居室に赴いて行われるのが決まりだという。 「なので刑務所内の暗黙のルールとして、『死刑がある日以外は朝9時まで居室の廊下を歩かない』ということになっているんです。ところが、ある拘置所では新人刑務官がそのルールを知らず、しかも同僚と一緒に朝一番に死刑囚房を巡回してしまった。 その上、死刑囚に『調子はどうだ?』など無意味に声をかけたため、死刑囚は自分が死刑になると勘違いし、大パニックに。ついには失神してしまったと聞いています。このように、朝の死刑囚房は非常に緊迫した状況にあります」(取材したM刑務官)
刑場は誰でも入れる?
拘置所にある刑場――しかし刑務官なら誰でも入れるわけではない。 「使用時やメンテナンス以外の時は鍵がかかっていて、『選ばれし者』しか入ることができません」(M刑務官) それは「管区警備隊」と呼ばれる刑務官たちのことを指す。主に刑務所のトラブルに対応する人員で、死刑の際、死刑囚を刑場まで連れていくのも彼ら警備隊だ。 それゆえ警備隊は一般刑務官には許可されていない、警棒や手錠などの装備を身に着けることができる。 「そしてほぼ全員が武道の有段者でもある」(M刑務官) 刑場の鍵は連行に関わる彼らに預けられ、執行の際にしか使用できないことになっている。M刑務官も刑場には死刑立ち会い時に初めて入ったという。
掃除のルール
刑務所内の掃除は基本的に素行の良い受刑者の仕事だ。だが、刑場の掃除だけは受刑者が担当することはない。前室から地下までキレイに掃除を行うのは、何と前出の警備隊だそうだ。 「受刑者に行わせないのは死刑のタイミングが漏れないためと、刑場を掃除するというストレスを与えないようにするためです」(M刑務官) ゆえに、日々の掃除は刑場の鍵を持った警備隊が行うというわけだ。 「ちなみに屈強な彼らでもひとつだけ恐れるものがあります。それは、刑場で目撃される幽霊。そのため、掃除の後は清めの塩を大量に身体に撒いて終了する」(M刑務官) 本記事では死刑執行にまつわる様々なルールについて取り上げた。死刑制度は賛否両論があり、どちらの考え方が正しいという性格のものでもない。だからこそ、今一度「死刑」について深く考えるきっかけになるかもしれない。 【もっと読む】「死刑執行ボタンを押す瞬間」に起きたあり得ない事態…死刑に参加した刑務官が告白
+オンライン編集部