非常戒厳と弾劾混乱で韓国・防衛産業“足止め”…輸出競争力に暗雲
【12月08日 KOREA WAVE】韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領による「非常戒厳」をめぐる政治的混乱が、韓国防衛産業に深刻な影響を及ぼしつつある。近年の防衛輸出増加の要因となったユン政権のリーダーシップが揺らぎ、輸出市場における競争力が低下する懸念が高まっている。 防衛産業における輸出は、技術的な機密保持や外交関係といった繊細な要素が絡むため、政府の役割が極めて重要だ。特に、武器の輸入国にとっては、輸出国の政治的安定性や対外的な信頼度が契約の決定要因となることが多い。 しかし、韓国国内で発生した非常戒厳とその後の弾劾騒動により、政府の外交能力が低下し、防衛産業の輸出プロジェクトに大きな遅延や障害が発生するリスクが顕在化している。 こうした政治的混乱の影響は既に現実となりつつある。例えば、「非常戒厳」宣言前に韓国を公式訪問していたキルギスのジャパロフ大統領は、韓国航空宇宙産業(KAI)のヘリコプター「スリオン」の試乗を予定していたが、キャンセルして帰国した。また、スウェーデンのクリステション首相も、5~7日に予定していた韓国訪問を延期。この際に予定されていた両国の防衛企業間の交流も実現しなかった。 さらに、国防政策を統括する国防相が辞任し、現在はそのポストが空席の状態だ。こうした政府内の空白が、防衛産業の輸出推進力を弱めているとの指摘がある。 防衛産業関係者は「政府の防衛外交が停止し、防衛製品の広報や契約推進に支障が出ている」と懸念を表明している。オースティン米国防長官が最近、東アジアを訪問した際、韓国を訪れなかったことも、国内の政治的混乱の影響とみられている。 一方で、政治的混乱が韓国防衛産業の本質的な競争力を揺るがすことはないという見方もある。韓国防衛産業は「高いコストパフォーマンス」と「迅速な納品」が強みであり、現在の不安定な状況にも一定の耐性を持っているとされる。 特に、現代ロテムによるK2戦車のポーランド向け第2次輸出契約が年内に締結されれば、混乱の影響を最小限に抑えることができるとの分析がある。産業研究院のチャン・ウォンジュン研究委員は「K2戦車輸出の成功をまず優先し、その後の新規受注の準備に取り組むべきだ」と述べた。 ポーランドのカミシュ副首相兼国防相は非常戒厳の発令後、自身のSNSで「韓国の政治状況を注視しているが、武器契約の履行に問題はないとの保証を得た」とコメントしている。 しかし、このような保証にもかかわらず、政治的混乱が長期化すれば、防衛産業に与える影響は予測不可能なものになる可能性がある。業界関係者は「現在の混乱が早急に収束することを望む」と強調した。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
KOREA WAVE