LUNA SEAとGLAYは“違う”からこそ惹かれ合う 25年ぶりの東京ドーム競演に至る両雄の歩み
LUNA SEAとGLAYが駆け抜けた激動の世紀末
『The Millennium Eve』が行われた世紀末真っ只中の1999年、両バンドは激動の年を過ごしている。まずLUNA SEAが5月30日『LUNA SEA 10th Anniversary GIG [NEVER SOLD OUT] CAPACITY∞』と題したライブを東京ビッグサイト スペシャルオープンステージで行った。これはタイトル通りキャパシティに制限を設けず、チケットのソールドアウトがないライブだった。しかし、開催3日前に会場を襲った強風により、数十億円をかけたステージセットが倒壊するアクシデントが起こる。中止の声も囁かれるなか、壊れたステージを廃墟に見立て開催された。その退廃的なステージと約10万人のオーディエンスが埋め尽くした会場の光景は、メンバーが乗った5台のヘリコプターがV字編隊で登場するオープニングとともに、まさに伝説と呼ぶに相応しいものであった。そしてGLAYは、7月31日に『MAKUHARI MESSE 10TH ANNIVERSARY GLAY EXPO '99 SURVIVAL』を開催。幕張メッセ駐車場特設ステージで行われたこのライブは、日本国内の音楽史上最大となる1公演約20万人動員という、これもまた今なお語り継がれる伝説のライブとなったのである。 その年の12月に開催されたのが『The Millennium Eve』だった。しかしながら、この公演の映像や音源は残されていない。先行がLUNA SEAで、彼らにとっては『LUNA SEA 10th Anniversary GIG [NEVER SOLD OUT] CAPACITY∞』以来のライブであったが、鬼気迫るステージを見せたこと。ダークな世界観を作り上げたLUNA SEAのステージとは対照的に、客電がついたままGLAYがステージを始めたこと。そして2バンドによるセッションはないという事前告知があったが、鳴り止まぬアンコールに応えて両バンドのメンバーが手を取り合って登場したこと。TERUがSLAVE(スレイヴ/LUNA SEAのファンの呼称)にならって、自分たちのファンに「“グレイヴ”のみなさん!」と呼びかけたこと……あの場にいた者だけが知っている光景は語り種となっている。 2025年2月、再び同じステージに立つLUNA SEAとGLAYはどんな競演を我々に見せてくれるのだろうか。SUGIZOとINORANが絡み合う唯一無二のツインギター、真矢(Dr)の豪奢ながらも繊細なドラミング、J(Ba)の漢気に溢れたロックなベース、そして苦境を乗り越えようとしている不死身のボーカリスト、RYUICHI。LUNA SEAのバンドマジックを超えたアンサンブル、5人から放たれるオーラは当時より大きく増している。GLAYはデビューから変わらぬ4人の絆とバンドに対する実直な優等生さを持ちながらも、バンドサウンドは今がいちばんロックだ。TERUの変わらぬ優しくも強さを感じる伸びやかな歌声、JIRO(Ba)の寡黙と見せかけてアグレッシブでパンキッシュなベース、そしてアバンギャルドでトリッキーなプレイのHISASHIと、オーセンティックなギターヒーローと化したTAKUROのツインギターは、当時より何倍も強力なものになっている。 そんなレジェンド両雄の共演が待ち遠してくてたまらない。
冬将軍