【ジャパンC みどころ】世界が注目する最高の150秒 日本の総大将 vs ディープのラストクロップ
そんなドウデュースに対抗するとされているのがアイルランドのチャンピオン、オーギュストロダンだ。 父は日本競馬史にその名を残す“英雄”ディープインパクト。 そのラストクロップとされる世代の彼は2歳時にフューチュリティトロフィーSを制してGⅠホースの仲間入りを果たすと、3歳になった昨年は英ダービー、愛ダービーと2ヵ国のダービー制覇を達成。 さらに秋にはアメリカに遠征してブリーダーズCターフを勝利と、まるでドウデュースのような戦績で欧州3歳馬の頂点に立った。 そして4歳になった今年、オーギュストロダンはドバイシーマクラシックでまさかのシンガリ負けを喫するという波乱のスタートとなったが、タタソールズGC2着後に迎えたロイヤルアスコット開催の大レース、プリンスオブウェールズSを勝利。 秋緒戦のアイリッシュチャンピオンS2着からジャパンCへとやってきた。 近年苦戦しがちの外国馬とはいえ、日本のターフで再三好成績を残してきたディープインパクト産駒という点で大きな注目を集め、さらに調教師は史上最高の調教師と名高いアイルランドの名伯楽、エイダン・オブライエン。 騎手もライアン・ムーアと欧州競馬の粋を集めたかのような最高のスタッフが集結。 ドウデュースのライバルとして、外国馬の大将格としての地力は十分にある。世界を震撼させたその走りを府中のターフでも見せるだろうか。
ジャパンCは古馬が強いレースとして知られているが、1998年にエルコンドルパサーが日本の3歳馬として初めて勝利して以来、風向きが変わったのかジャングルポケット、ローズキングダム、ジェンティルドンナ、アーモンドアイと2000年以降だけで4勝を挙げている。 中でも牝馬2頭はオークスを制しているという共通点がある。それに当てはめると今年の二冠牝馬、チェルヴィニアにもチャンスがある。 2歳時に3戦2勝。アルテミスSを制した際には鞍上を務めたクリストフ・ルメールがその将来性について高い評価を口にするほどの期待馬だったが、阪神JFを左トモの不安で回避。 これが尾を引いたのか、3歳緒戦として選んだ桜花賞でもまさかの13着大敗。かつての期待馬はその他大勢にまぎれる形になった。 ところが距離を延ばして迎えたオークス。チェルヴィニアの鞍上には故障明けのルメールがいた。すると桜花賞時とは全く違う気迫あふれる走りを見せたチェルヴィニアはオークスを完勝。 そして秋緒戦となった秋華賞でも490キロに成長した馬体から繰り出すパワフルな走りで馬群を割って快勝。堂々たる走りで牝馬二冠を達成してみせた。 次なるタイトルとして目指したのは女王の座ではなく、牡馬との一戦となるジャパンC。 重賞では初となる牡馬相手の一戦は海外の強豪とも対戦するというハードルの高いレースとなったが、この馬のポテンシャルならばそれすら軽々と超える可能性もある。 日本総大将が意地を見せるか、海外の強豪がその実力を見せるか、はたまた若い力が席巻するか…… 今年のジャパンC、世界最高の150秒がもう間もなくに迫ってきた。 ■文/福嶌弘