『Eye Love You』花岡が今後の物語の鍵に? 中川大志が見せるギャップから目が離せない
何の打算もないド直球すぎるテオ(チェ・ジョンヒョプ)から侑里(二階堂ふみ)へのアプローチがあまりにピュアすぎて面食らってしまうほどの『Eye Love You』(TBS系)。 【写真】『Eye Love You』中川大志の場面写真(複数あり) 幸か不幸か、人の目を見るとその人の心の声が聞こえてしまう“テレパス”という特殊能力を授かってしまった侑里が、徐々に心を開いていく相手がテオなのも頷ける。それは、テオが日本語を話していても心の中の声は母国語である韓国語で、恋の始まりには都合がいいことに、侑里もその真意を読み取ることができないから。でも、それだけではない。この人の心の声は裏表がなくきっと海のように清いのだろうと直感的に思えてしまうのだ。 侑里にとって“心の声”が聞こえてもさほど気にならない相手は他にもいる。彼女がチョコレート店「Dolce&Chocolat.」を一緒に立ち上げた専務取締役・花岡彰人(中川大志)もその一人だろう。一見したところクールで無愛想だが、彼のチャーミングさが回を追うごとに露呈し始めている。 侑里の空腹時に怒りっぽくなるという性質などを熟知しており、それを問いただしたり下手に宥めようとするでもなく、そっとエナジーチャージできる食べ物を差し出す。空腹のあまりちょっと怒りっぽくなっている侑里が突発的に思いついたゴミ箱を壁掛けにすればいいのではという案についても、間髪入れずにそのためにかかる経費を算出し、彼女の気になるポイントをどんどん払拭していく。最短距離で彼女にとっての“正解”を導き出すのが花岡だ。その阿吽の呼吸ぶりに彼らの間に確実に横たわる信頼関係が滲む。 そもそも、学生の頃から環境問題に興味があったものの、研究でそれが解決できるのかと自身の進路に悩んでいた侑里に「ベンチャー起業」という可能性を提示したのも花岡のようだ。経営学部の学生だが環境系の学部の講義を受講していた花岡の「環境問題はビジネスでこそ解決の可能性がある」という一言が侑里の進路を決定付けたとも言えるだろう。 ポーカーフェイスで、言葉以上でも以下でもないそのままの感情で人と対峙していそうな花岡は侑里にとっては信頼できる数少ない人間なのだろう。そもそも花岡は事実を突きつけるばかりで、あまり“私情”というものを抱かなさそうだ。熱中したことに猪突猛進に進む侑里に対して、花岡はその自分にはない魅力が事業を牽引していることをきちんと認めており、自身との違いを面白がっている。バランサーとして機能しなければならない二番手に最適の人材だ。そして侑里の少しの変化も見逃さない、基本的に勘が良い男なのだろう。 ●花岡は侑里に“特別な感情”を抱いている? 中川がクールで少しぶっきらぼうなところもある役回りを演じるのはかなり珍しいことではないだろうか。これまではどちらかと言えば感情ダダ漏れのキャラクターを演じる側にいた中川が、本作では「公私混同する人間はうちの会社には必要ない」と少し冷めたような目で直情型の人間を見る方に回っているのが新鮮だ。 同じく火曜ドラマ『G線上のあなたと私』(TBS系)では兄の元婚約者でバイオリン教室の講師を務める眞於(桜井ユキ)に叶わぬ恋をしている大学生の理人役を好演し、時に空回りしがちな姿からは彼の痛いほどの本気度が伝わってきた。主演を務めた『ボクの殺意が恋をした』(読売テレビ・日本テレビ系)でも、情に厚い殺し屋役を務め、あろうことか初恋相手がそのターゲットというジレンマに翻弄される役どころを熱演。『親バカ青春白書』(日本テレビ系)でも、純朴だが癖のある大学生・ハタケ役を務め、何とも憎めないキャラクターを立ち上らせていた。不器用で人間臭くて、見た目とは裏腹にスマートには事が進まない、ちょっと情けなさもある血の通った役どころが多かった中川だが、本作での花岡にも実はそんなギャップがあったりするのだろうか。 1滴もお酒が飲めず、かなり少量で酔ってしまい全てを置き去りにして帰るというギャップは既に露見している。さらに第2話ラストでは、そんな酔っ払った花岡がチョコレート屋の前で侑里と一緒に写る、創業間もない頃であろう1枚の写真を片手にすやすやと眠っている姿が映し出された。そんな“思い入れ”なんて抱かなさそうなタイプに見せかけて、早くも意外性を発揮してきている。彼は侑里にビジネスパートナー以上の特別な感情を抱いているのだろうか。 これからますます積極的になるだろうテオから侑里へのアプローチに、花岡がどんなリアクションを見せるのかも要注目だ。
佳香(かこ)