【師弟スペシャル対談3】関塚隆×中村憲剛。率直な疑問「セキさん、監督って何が一番大事ですか?」
「監督はマネージャー的な要素も」(関塚)
かつて川崎の監督を務めた関塚隆と、その川崎のバンディエラとなった中村憲剛。師弟関係を築いてから20年、今年、中村がプロのチームを率いることができるS級ライセンスを正式に取得。一方、関塚は現在、J3の福島のテクニカルダイレクターとして、地元に活力を与えようと奮闘中。8月31日(土)の北九州戦(18時キックオフ)ではホーム・とうほう・みんなのスタジアムに5000人を集めようとキャンペーンも展開している。 ともに指導者となっての初の対談。パート3では監督の真髄にも迫る。 ――◆――◆―― ――改めて今は福島でテクニカルアドバイザーを務められる関塚さんの視点から現代サッカーで監督として生きていくためのアドバイスはありますか? 関塚 いやでもね、寺田(周平)も今年からうちで初めて監督をやってもらったけど、まったく問題ない。彼は自分のフィロソフィー、やりたいこと、それをどうやってトレーニングに落とし込んでいくか、そしてコーチングスタッフとのリレーション、試合に出ている選手へのフォローと、ちょっと試合から遠ざかっている選手へのフォローなど、トータル的に自分の思い描いていることをやれているんじゃないかな。だからケンゴもまず自分の考えを実践する場を持つことが大事だよ。あとは、オフザピッチのところ、スポンサーの方々やファン・サポーターとの接し方、メディアへの対応など色々あると思うけど、そういうところはケンゴは引き出しを一杯持っているだろうし、やっぱり今後は実際にやってみて、作り上げていくところだよね。 【動画】寺田監督らからのメッセージ 自分は今テクニカルダイレクターっていう立場をやらせてもらっているけど、どっちかというとメンター的な立ち位置で、助言じゃなく、監督や選手との会話のなかで、何かヒントや気付きが生まれたら良いかなと考えている。現場の責任者として押し付けるのではなく、そういったコミュニケーションを心がけているね。ただ、チームとして全体のオーガナイズがしっかり働いているかは気にして見るようにしているね。 ――ケンゴさんは他に関塚さんに聞きたいことはありますか? 中村 まだまだ山ほどあるんですが、改めて監督に一番大事なことってなんですかね? 関塚 大きく言えば、自分の意思でしっかりチームを導いていくことかな。第一に、自分がやりたい、進めたいサッカーをコーチングスタッフと共有すること。そこが一枚岩になってこそ、選手に対するアプローチを始めることができる。さっきはクラブとの関係性の話もしたけど、クラブと明確な目標な共有し、目指すべきサッカーを現場と共有していく。自分だけが走ろうとしても、周りが一緒に走ってくれないと意味がないからね。細かい戦い方などはそこからかなと。 中村 みんなのベクトルが揃っていないとダメですもんね。と言いますか、僕もよくベクトルって言葉を使わせてもらっているんですが、これ完全にセキさんからの受け売りなんですよ。同じベクトルを向ける。当時、セキさんがよく使っていた言葉で、“©関塚隆”って入れても良いんじゃないかというほどで(笑)。 関塚 ずっと口酸っぱく言ってたよね。ベクトル。全員が同じ方向を向き続けてくれと。 中村 その言葉はすごくインパクトがあって、分かりやすくて、関さんといる時はずっとその言葉を聞いていました。 関塚 伝えていたのは、「ベクトル」と「一体感」。他の方を向いている者がいたらダメだと、注意していたから。 中村 そこはかなり厳しかったですよね。でもそこを曖昧にすると、選手は「どうすれば良いの?」ってなっちゃう。逆に監督がしっかり基準を示してくれれば選手は安心できますから。
【関連記事】
- 【師弟スペシャル対談1】関塚隆×中村憲剛。川崎時代から継がれるバトン「セキさんがフロンターレの監督になったのはちょうど今の僕の歳」
- 【師弟スペシャル対談2】関塚隆×中村憲剛。監督をやるなら“組閣”も大事?「指揮官はひとりじゃできない」
- 【師弟スペシャル対談4】関塚隆×中村憲剛。寺田周平監督がサプライズ登場!!ケンゴも太鼓判「今の福島のサッカーは本当に面白い」
- 「いきなり桃の収穫に(笑)」サッカーの強化から農業部まで還暦を過ぎた“セキさん”こと関塚隆のJ3福島での新たな挑戦【インタビュー1】
- 魅力的なサッカーで注目のJ3福島の“新米監督”。川崎一筋だった寺田周平の就任までの笑いあり涙ありの裏話【インタビュー1】