なぜ「病の詳細」を伏せている? チャールズ国王が "がんの種類" を公表しなかった理由
チャールズ国王は、良性の前立腺肥大と診断を受けたとき、この病気に対する認知度を高め、同様の症状を持つ男性に検査を奨励するために、自身の診断結果を公表すると決断した。 【写真】わずか3歳で皇太子、74歳で国王に。チャールズ国王の「意外な一面」が垣間見える18のエピソード この決断自体に前例がないわけではない。例えば、カミラ王妃の2007年の子宮摘出手術、2018年の故フィリップ殿下の人工股関節置換手術、2003年の故エリザベス女王の膝の手術など、ロイヤルファミリーのメンバーが過去に病気治療の詳細を発表したことはある。その一方で、最近のキャサリン妃の手術や、2013年の故フィリップ殿下の腹部手術のように、つねに詳細が公表されるというわけではないので、多くの人が驚いた。 チャールズ国王は健康状態をオープンにするというスタンスをとった直後に、がんの一種が見つかり、バッキンガム宮殿はまた新たな状況に直面してしまった。たとえ君主や国家元首であっても、詳細公表が必須なわけではないため、新情報の何をシェアしたいかはチャールズ国王の意思次第だった。 最終的に国王は、がんという事実を明かすことに決めたが、「前立腺がんではない」と明確にしただけで、具体的にどんな種類のがんなのかは公表しなかった。 「陛下は憶測を防ぎ、世界中の人々が、がん患者を理解する一助になることを願って、診断を公表することに決めました」とバッキンガム宮殿は声明を出した。さらにスポークスパーソンは「国王は、皇太子時代に多くのがん関連の慈善団体のパトロンを務めていたこともあり、自身の治療を開始した直後、すぐに診断を公表する方向で決めました」と加え、国王は「治療に全面的に前向き」で、ロンドンの病院で外来治療を受けていると述べた。
しかしながら、バッキンガム宮殿は「更なる情報を明かすかどうかを決めるのは、国王の権利でプライバシーの問題」だということも強調。がんの種類やどんな治療を受けているかの憶測や追求をしないようメディアに求めた。宮殿はスタンスを明確にしており、堅いメディアはこれを順守することを考えると、どのような形であれ情報がシェアされる可能性は低そうだ。 がんという診断結果はオープンにしたものの、どんな種類のがんかは公表しないことに、困惑した人がいたのも事実だろう。しかし、バッキンガム宮殿は今、メディアによって "ある特定の種類のがん" に注目が集中するのではなく、がん全体に対する認知がなされるようバランスを取っているのだ。がんのタイプについて詳細を公表しないことは、国王のプライバシーをより保護することにもつながる。 将来、国王が公表を決意する可能性はある。だが、今のところバッキンガム宮殿は、定期的なアップデートはせず、現段階における更なる情報もないと明確にしている。
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