みどりの窓口廃止に「利用客軽視」 SNSで批判が起きる理由を専門家に聞いた
有人窓口は最後の砦という安心感
同研究所は、券売機をあまり利用したことがない人は「話せる指定席券売機のオペレーターが、対面の係員と同じように対応してくれるイメージがしにくい」と指摘。さらに、「人の姿が見える有人窓口は、困ったときに駆け込める最後の砦という安心感がある」という。
東京理科大社会基盤工学科の寺部慎太郎教授(交通計画)は、オペレーターについて「顔が見えないことに加え、機械に向かって話すことに違和感がある人も多い」とみる。また、「慣れていなければ機械操作に時間がかかるため、有人窓口の方が速やかに切符を買える。そういう人にとっては機械の利点が損なわれてしまう」とも指摘した。
有人窓口から話せる指定席券売機への円滑な移行について、寺部教授は「時間をかけないと難しい」と話す。駅をあまり利用しない人の場合は、最寄りの駅のみどりの窓口が廃止になったことを知らない可能性もあるとし、「JRが丁寧にきちんと説明し続けなければいけない」。交通経済研究所は「話せる指定席券売機が社会に浸透し、当たり前になるには、利用者がうまく機械を使いこなし、その利便性や快適性を認識する成功体験を積み重ねることが重要だ」とする。
読者の中には「もうすぐ最寄りの駅でみどりの窓口が廃止になる」という人もいるだろう。話せる指定席券売機が近隣の駅に導入された人もいるかもしれない。鉄道の旅が好きな記者にとって、みどりの窓口はちょっと複雑な切符の購入に欠かせない存在だ。閉鎖や縮小は寂しいが、最寄りの駅に話せる指定席券売機が設置されたら使わざるを得ない。何か操作に困ったときはオペレーターに積極的に話しかけ、少しずつ操作に慣れていきたいと思う。