沿岸に37万本の松を植林し「防災林」へ…学生リーダーが“アラル海”の緑化プロジェクトで知見
福岡市出身の19歳の女子大学生が東日本大震災の被災地で防災林の再生活動に取り組んでいます。この学生が来月からウズベキスタンに留学し、砂漠化した湖を緑化するプロジェクトに参加することを決めました。一体、どのような思いからなのでしょう? 【写真で見る】「防災林」…学生リーダーがアラル海の緑化プロジェクト
全長5キロの「松林」を再生させようとしている
福岡市出身の柚原結女さんは、東北大学農学部に在籍する2年生。土壌改良や生態系の保護に携わる研究者を目指しています。進学を機に福岡を離れた柚原さんは、東日本大震災の被災地で過ごすなかで、防災意識が大きく変わりました。 柚原さん「当時は、津波が来たところもあるんだと他人事の意識が強かったです。自分の目で震災のことを学ぶ機会も増え、興味や関わりたいという思いが芽生えてきました」 柚原さんは今、震災で大きな被害を受けた宮城県名取市で、NPOのオイスカが行っている海岸防災林の再生プロジェクトに参加しています。海岸防災林は津波の力を弱めるだけでなく、風や砂を防ぐ効果もあります。オイスカは震災直後から、全長5キロにわたる沿岸部に、松林を再生させようとしています。その数約37万本。柚原さんはこのプロジェクトで大学生のリーダーを務めているのです。 柚原さん「防災林は津波から守るという意味合いもあって大事です。同時に、震災の記憶を伝承する、地域の関わりを繋げていく観点からも重要な役割を果たしていると思っています」
アラル海の砂漠化や塩害を学びながら“苗木作り”に携わる
そんな柚原さんが、来月、ウズベキスタンに留学することを決めました。世界で最も砂漠化が進む「アラル海」の緑化プロジェクトなどに参加するためです。「アラル海」は日本から約6500キロ離れた、ウズベキスタン北西部の湖。かつては世界有数の大きさを誇りましたが、灌漑や干ばつで10分の1にまで縮小し、「20世紀最大の環境破壊」と呼ばれています。 柚原さん「沿岸部の塩分のある土壌で植林し、森をつくっていくテーマは、ウズベキスタンでも植林という点で同じだと思ういます。自分に何ができて、何ができないのかを学びたい」 留学先の大学職員たちとの打ち合わせでは、カリキュラムやアラル海の危機的な現状を確認しました。 現地の大学職員「前はアラル海だったんだけど、今はアラル砂漠と言っています」 柚原さんは、アラル海の砂漠化と塩害を学びながら、植林のための苗木づくりや生育状況の観測などに携わる予定です。留学に向けて柚原さんが始めた取り組みの1つが、土の研究などに関わるアルバイトです。