なぜJR宝塚線は運賃が高いのか!?…実は“めちゃくちゃ複雑”だったJR西の運賃体系 京阪神エリアの運賃体系を見直しへ
JR西日本は5月15日、京阪神エリアにおける新たな運賃体系を国土交通相に認可申請したことを発表しました。あまり日常生活において意識しているようで意識していない運賃体系。一体、どのような問題が存在するのでしょうか。そして、今日の運賃体系にはどのような背景があるのでしょうか。なお、当記事での運賃はJR西日本管区内に限ります。 【路線図】2025年4月以降「幹線」から「電車特定区間」に移行する区間…値下げの可能性があります
京阪神エリアに4つの運賃区分が存在
JRの運賃は営業キロに応じて定められていますが、運賃体系は全路線同一ではありません。京阪神エリアですら大きく4つの運賃区分が存在します。その4つとは「大阪環状線内」「電車特定区間」「幹線」「地方交通線」です。 この中で最も運賃が安いのは「大阪環状線内」(大阪環状線・ゆめ咲線など)です。たとえば、営業キロ11~15キロですと、電車特定区間が230円なのに対し、大阪環状線内は210円です。大阪環状線内の次に安いのが電車特定区間です。36キロ~40キロですと、電車特定区間は660円、幹線は680円です。最も運賃が高いのは地方交通線です。 問題はどの路線区間がどの運賃区分に入るか、ということです。京阪神エリアにおいて、電車特定区間に属するのはJR京都線・神戸線京都~西明石、JR大和路線天王寺~奈良、阪和線、JR東西線、おおさか東線、学研都市線京橋~長尾です。 幹線に属する主な路線はJR神戸線・山陽本線西明石以西・兵庫~和田岬、JR宝塚線・福知山線、琵琶湖線、湖西線、嵯峨野線、奈良線、学研都市線長尾~木津です。
どう変わるのか…4区分→3区分へ
JR西日本京阪神エリアでは2025年4月から「大阪環状線内」を廃止し、「電車特定区間」「幹線」「地方交通線」の3区分に変わります。 電車特定区間は拡大され、西は網干駅、北は新三田駅・亀岡駅・堅田駅、東は野洲駅・城陽駅・松井山手駅・奈良駅、南は和歌山駅・関西空港駅になります。 電車特定区間の運賃も変わり、鉄道駅バリアフリー料金を含んだ電車特定区間の初乗り運賃(1~3キロ)は150円になります。また、普通運賃だけでなく通勤・通学定期券も改定されます。 なお、大阪~三ノ宮間のように並行する鉄道事業者との競合区間等に設定している、上限運賃より安価な特定の運賃については、基本的に変更しません。 大阪環状線内に属している区間は値上げ、従来から電車特定区間に属している区間は値上げもしくは据え置きの一方、幹線から電車特定区間に移行する区間は値下げもしくは据え置きになります。なお、全体では運賃収入の増収にはならないとのことです。