中国人民元、6月末までに7.3元試す可能性-当局が手綱緩める
(ブルームバーグ): 中国が人民元相場に対する手綱を再び緩めたことを受け、人民元が昨年11月以来見られなかった心理的な節目を試す可能性が出てきた。
ブルームバーグがアナリスト10人を対象に実施した調査では、中国人民銀行(中央銀行)が16日に人民元の中心レートを通じて元安方向に誘導したのを受け、今四半期末までに1ドル=7.30元を試す水準まで軟化する見通しが示された。
これは現行水準から1%弱の元安だが、今後そこに至るまでに急激な下落に抵抗する当局の動きが伴うだろうとアナリストらは予想した。人民銀は17日、中心レートを1ドル=7.1025元に設定。前日は7.1028元だった。ドル高の中で、人民元の安定を図っている。
人民銀は元安による市場の動揺や資本流出を誘発しない形で、経済に恩恵をもたらし得るような最適な元安ペースを見いだす課題と、たえず向き合っている。経済成長を巡るセンチメント悪化で投資家はことあるごとに元売り機会を利用しており、中銀の仕事は日に日に難しくなりつつある。
人民銀が外国為替管理を巡りまちまちのシグナルを送っているように受け止められかねないのはこうした理由があるからだ。中銀は中心レートを16日に元安方向に設定したが、その前3週間はほぼ据え置いていた。3月下旬には中心レートを引き下げ、市場を動揺させたが、その後再び元相場を下支えする姿勢に転じていた。
ガベカル・ドラゴノミクスの中国エコノミストである何煒氏は「元の下落は極めて緩やかなものになるだろう」と述べ、6月末までに7.30元を試すと予想。緩やかな元安によって、人民銀は成長の下支えと市場心理の安定化のバランスをとることができると分析した。
同氏以外にも、DBSグループ・ホールディングスやマラヤン・バンキング、スタンダードチャータードが、短期的に7.30元まで下落するか、同水準よりも元安が進行する可能性があると予想している。オンショア元は16日、7.24元をわずかに下回る水準で取引された。