「社会や顧客の課題に向き合い、市場で競争力があるという状態でこそ企業は成長を果たしていける」…パナソニックホールディングス・楠見雄規社長
――車載電池の見通しは。
「打てる手は打ってきたし、新たにSUBARU(スバル)、マツダに供給するご縁も頂いた。これまで顧客と握った上で投資をすると申し上げてきた。必要以上に先行して生産設備に投資をして、設備が稼働しないということだけは避けないといけない。今後も投資は、順次、見極めながらやっていくことに変わりはない」
――AI関連事業の方向性は。
「パナソニックグループが得意とする『くらしの領域』での活用に向けAIの技術を研究・開発していかないといけない。現在、米国の拠点で開発を進めているので、今後にご期待いただけたらと思う。
AIはサービスだけでなく、企業の持続的成長にも相当、関わってくる。AIで効率化をしないと、内部の効率性で他社に負けてしまうからだ。23年4月から全社員に独自の生成AI『PX―AI』を扱えるようにした。仕事のスピードをどんどん上げていく」
――25年1月の米ラスベガスで開かれる世界最大級のIT・家電の展示会「CES」で、キーノート(基調講演)を担当する。
「パナソニックの登壇は12年ぶりだ。前回紹介した領域はもう重点でなくなっている商品もある。5年、10年先の時代をテクノロジーでどう変えていくのかを発信できたらいい」
大阪万博、子どもたちの内面に働きかけたい
――大阪・関西万博では、パナソニックの考えや理念をどうやって共有するか。
「年齢層が若い子どもたちとの接点が薄くなっている。昔はおもちゃの次に、ラジカセがあった。今は女性の場合、ナノケアのドライヤーまで飛んでしまう。万博では、自分たちが未来を変えるんだということを感じてもらいたい。地球環境など、(10年代以降に生まれた)アルファ世代に関心を持ってもらう上で、パナソニックが働きかけてくれているということがわかってもらえたらいい。
幼い頃に大阪万博があった。松下館はあまり印象に残っていない。海外のパビリオンで食べたものの方が覚えている。話題になった月の石を見て感銘を受けた。子どもたちの内面に働きかけることができればと思う」