<インド・炭鉱>黒いダイヤ ── 高橋邦典フォト・ジャーナル
経済成長を続けるインドには、多くの炭鉱の町が存在する。 12億を超える莫大な人口を支えるエネルギーの半分以上は火力発電によるものだから、炭鉱なくしてインドが成り立たないと言っても過言ではない。
20世紀初頭、石油にその座を取って代わられるまで、石炭は「黒いダイヤ」と呼ばれるほど、世界で最重要の燃料だった。昨年の選挙で大勝利を収め、その座についたモディ首相は、慢性的な電気不足を解消するため、石炭を2倍に増産する5カ年計画を打ち出した。国際社会からは、大気汚染と地球温暖化の悪化が懸念されているが、石炭は国内に豊富に埋蔵されているうえ、コストも安い。インドにとって、炭鉱地は心臓、そして石炭は体を流れる血液。「黒いダイヤ」がまだまだその役割を終えることはない。 (2014年12月) ---------------- 高橋邦典 フォトジャーナリスト 宮城県仙台市生まれ。1990年に渡米。米新聞社でフォトグラファーとして勤務後、2009年よりフリーランスとしてインドに拠点を移す。アフガニスタン、イラク、リベリア、リビアなどの紛争地を取材。著書に「ぼくの見た戦争_2003年イラク」、「『あの日』のこと」(いずれもポプラ社)、「フレームズ・オブ・ライフ」(長崎出版)などがある。ワールド・プレス・フォト、POYiをはじめとして、受賞多数。 Copyright (C) Kuni Takahashi. All Rights Reserved.