桐畑恒治が乗るちょっと古いクルマ、ランチア・デルタ(2014年型) 「中古になったら買い」の愛車候補はまだまだたくさんある!
思い返せば乗ってきたのは全部ちょっと古いクルマでした(笑)
なぜいま、ちょっと古いクルマがこれほどまでに盛り上がっているのか。モータージャーナリストの桐畑恒治さんが所有するのは2014年型のランチア・デルタ。桐畑さんにとっては、ちょっと古いクルマは今ではなくずっと前からブームだったという。そしてもちろんこれから先もずっと乗るのはちょっと古いクルマだ(笑)。 【写真10枚】モータージャーナリストの桐畑恒治さんが所有する小さな高級車、ランチア・デルタの詳細画像はこちら ◆過去の判断を実感する 今なぜちょっと古いクルマに乗るのか。そんな今回のテーマに沿った、目利きたちの意見は他の記事のとおりだが、個人的には「いま」ではなく「以前からずっと」だ。より具体的にいえば免許を取った直後から。「どうせぶつけるんだから最初は中古車でいいじゃない。自分で稼ぐようになってから好きな新車を買えば」と言われて納得した自分。ぶつけてはいないし、稼いでもいないけれど、好きなクルマは選び続けている。それがちょっと古いだけでその姿勢というか方向性は変わらない。 そんな僕の愛車遍歴はというと、プジョー205SIに始まり、アルファ・ロメオ155ツインスパーク、ジープ・チェロキー・リミテッド、スマート・ロードスター、メルセデス・ベンツML350ブルーテック、そして今のランチア・デルタ1.6マルチジェットへ至る。どれもその時々のちょっと古いクルマばかりである。これらを選んできた理由としてはやはり購入に際しての負担が少なく済んだのが大前提なのは間違いない。また一方で共通しているのは、リーズナブルにそれぞれの醍醐味を味わえたというところだ。 205や155は使い勝手の良さとともに、欧州車的な足の良さを持ったスポーティな走りが、しかもMTで存分に楽しめたし、チェロキーはその走破力の高さが遊びの幅を格段に広げてくれた。スマートとMLの2台持ちはシチュエーションや気分に合わせた使い分けができる理想の組み合わせだった。それが都内住まいでは贅沢な話であったがゆえに、経済的な面を考えてデルタ1台に絞ったわけだが、それで卑屈にならずに済んだのもちょっと古いクルマのなせる技かもしれない。ちょうどいいサイズで使い勝手や走りが良く、それでいながらエレガント。名門ブランドのクルマというのも好きモノの心をくすぐり、全方位的に所有欲を満たしてくれているのだ。1年ほど前の巻頭特集でも記したが、理想的なクルマと(ほとんど苦もなく)日常を暮らせる幸せ。そんな喜びがこのチョイスにはある。 もう1つ、超個人的な立場でいえば、いまの仕事の糧というかモチベーションにつながるから選ぶ、というところもある。スマート、ML、デルタに限っていえば、どれも新車当時に試乗をして、その時々で「コレいいなあ」と思ったのがずっと頭に残っており「中古になったら買いだな」という考えを実践しているのだ。新車時の価格は高くても、5年、10年もすれば愛車候補の射程圏内に十分入るし、パフォーマンス的にも不満はナシ。むしろちょっと古くなった分のこなれ感も(良い方向に作用していれば)アリだ。 それに何より、あの頃の自分が抱いた印象、判断が正しかったと実感できるのがいい。当時の自分のリポートを読んでこのクルマを選んでくれた人たちも幸せになれたかも、という別種の喜びも生まれる。今もちょっと古いクルマを選ぶ理由はそこにあり、それが今はデルタの番で、この先も何かに替わるはず。さて、次はどのクルマにしようか。愛車候補はまだまだある。 文=桐畑恒治 写真=神村聖 ■ランチア・デルタ(2014年型) 皆さんが想像するランチア・デルタとは似ても似つかぬ姿形の、(戦前分は除く)モデル名の系譜で3代目に当たるのが2008年にデビューしたこのデルタだ。日本にはガレーヂ伊太利屋の手によって1.4リッターと1.8リッターのガソリン、1.6リッターディーゼルの合計3タイプの直4ターボ搭載車が導入された。筆者の愛車は後期型にあたる2014年型1.6リッター直4ディーゼルで、2021年夏に偶然の出会いがあり、それまで乗っていたメルセデスMLとの入れ替えという形で愛車となる。走行距離は購入時から2万km超増え、まもなく10万kmに達しようとしているが故障はほぼナシ。ドッグラン巡りの忠実な愛犬エクスプレスとして快調・快適に走ってくれている。(桐畑恒治) (ENGINE2024年5月号)
ENGINE編集部
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