JRのきっぷは途中駅で「改札の外」に出られる!? 旅行や帰省の幅を広げる“知っておきたいルール”とは
3泊しても1枚のきっぷで!?
途中下車制度はビジネスにも有効です。もう少し距離を伸ばして、東京から大阪へ、東海道新幹線を利用して行く場合を検討します。 このとき、券面に「東京都区内→大阪市内」「経由:新幹線・新大阪」と書かれた乗車券が発行されます。つまり経由する路線である東海道新幹線や東海道線の各駅であれば、途中下車が可能です。ただし東京23区内、大阪市内の駅は除きますが、その理由は後述します。 例えば東京から大阪へ出張する人が、途中、静岡と名古屋でも用事を済ませたい場合。東京~大阪間の通しの乗車券は8910円になります。もちろん、静岡、名古屋で途中下車できます。 一方で、東京~静岡間、静岡~名古屋間、名古屋~大阪間の乗車券を別々に購入する場合は、それぞれ3410円、3410円、3410円で合計10230円と、1320円も高くなります。ただし、特急券には途中下車の制度がないので、通しの乗車券を所持していても各区間で購入する必要があります。 「名古屋、静岡で1泊ずつする場合、通しのきっぷは使えないのでは?」と疑問があるかもしれません。でも、大丈夫。乗車券の営業キロが200km伸びるごとに有効期限が延長される制度があり、東京~大阪間の通しの乗車券の有効期限は4日間もあります。静岡、名古屋で1泊ずつしても大阪までの有効期限は残っているので問題なしです。
「大都市」はいろいろ注意だ!
いいことずくめに見える途中下車制度ですが、東京23区内と、札幌、仙台、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、北九州、福岡の各市を発着する乗車券には注意が必要です(市内の一部駅の除外、近隣の他市の駅を含む場合があり)。 というのも、「券面表示の都区市内各駅下車前途無効」という注意書きが入っているケースがあります。これは、定められた都区市内のなかで途中下車をすると、乗車券は残りの区間で使用できなくなることを意味します。 例えば、東京23区内駅の新宿で「東京都区内→大阪市内」と券面に書かれた乗車券で入場したら、東京では途中下車できません。また、新大阪で下車すれば乗車券は回収されてしまうので、ほかの大阪市内の駅に行くことはできません。 なお、東海道・山陽新幹線のエクスプレス予約や、えきねっとで購入したきっぷをSuicaなどICカードに紐づけして使用する「新幹線eチケットサービス」など、途中下車ができないケースもあるので注意しましょう。 ちなみに、途中下車する際は乗車券を自動改札機に通してOKです。きちんと戻ってくるか不安であれば改札口に出向き「途中下車します」と申し出ましょう。乗車券に駅名が入った「下車印」を押してもらえます。どこで降りたか一目瞭然なので旅の思い出にもなります。 高速バスや旅客機のように、出発地から目的地までまっすぐ向かわず、途中の駅に停車しながら向かう交通機関である鉄道だからこその制度といえる途中下車。うまく活用して、おトクに旅行や出張に出かけましょう。
水野二千翔(高円寺工房/モビリティライター)