県が中山間地域再興ビジョン 「若者の増加」柱に農村再生へ
高知県は20日、県独自に「中山間地域再興ビジョン」を示し、県外からの移住者を5000人以上呼び込むなどで10年間で若者を増やす目標を据えた。特に若い女性の流出に歯止めをかける。人口減少下でも暮らし続けられる適応策と、人口減から脱却し若者を増やす緩和策の両面で農村再生を進めていく。 ビジョンには10年後に目指す将来像と数値目標、2027年までの行動計画を盛り込んだ。目標の柱には、33年までに中山間地域の全ての市町村で①34歳以下の人口を22年よりも増やす②出生数を22年よりも増やす――の二つを据えた。取りまとめた有識者会議によると、人口減少が進む中で独自に人口数の目標と行動を示すビジョンは全国で例がないという。 ビジョンでは新たに若者の移住・定住支援や、労働・生活環境の整備に注力する方針を打ち出した。高知県ではこれまで、「くらし」「(集落の)活力」「しごと」の3分野で、過疎化が進む中山間地域でも暮らし続けられる体制整備を進めてきたが、今回は「若者の増加」を最も重要な柱として新たに追加した。4分野で10年後の目標を設定した。デジタル技術の活用も各分野で進める。 27年度を達成年とする中間目標も設定。新たに柱に据えた「若者の増加」へ、県外からの年間移住者数を22年度の1730人から3000人超に拡大、年間新規就農者数を同196人から280人に拡大、合計特殊出生率を同1・41から1・68に上昇――などの目標を設定した。 移住者増へは、若者や女性を対象としたU・Iターンを推進。市町村独自の推進策を支援する他、広告やイベントなどでの魅力発信を強化。若手就農者の育成へは、県農業の魅力発信や農業体験、親元就農時の研修などを支援する。 「集落活動センター」の設立や子育て支援、移動手段の確保、医療体制の整備などを継続して推進する。(溝口恵子)
日本農業新聞