自分たちでしかできない世界を広げたい 山崎大輝×小野塚勇人『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』初共演への道
トーマスには共感することだらけ(小野塚)
――レベルの高い挑戦ですね。ところで、自分の演じる役柄の魅力はどういうところにあると思いますか? 山崎 アルヴィンは独創的な世界をもっていて、いくつになっても子どものように目を輝かせながら物事を見つめている。純粋な心で憧れの世界に入っていく姿はとても魅力的に映るし、物に思い出が残っているとか、もう会えない人に対しての思いのもち方とかには、僕自身も共感します。 小野塚 僕も、トーマスには共感することだらけです。トーマスは“天才に憧れてる凡人” で、アルヴィンは特に何かを成し遂げてる人ではないけど、天才肌というか、こんな自由な生き方ができたらいいんだろうなっていう憧れがある。とはいっても実は嫉妬もしているし、でも親友だし。自分の一番身近な存在が一番まぶしくもあり、一番腹立たしくなる、家族のような存在。家族って喧嘩してもやっぱり大事だし、いなかったら嫌じゃないですか。 ――切るに切れない絆がありますよね。 小野塚 トーマスにとってのアルヴィンもそれと同じような関係性で、見えないところで結ばれていて恋人ではないけど共依存しているような、お互いに補填し合っているような感じ。そんな絶妙に保たれていたふたりの関係が、大人になるにつれてバランスがとれなくなってしまったっていうことじゃないか、とかいろいろな見方もできます。後半の展開についてふれるのは難しいけど、トーマスとしてはずっと世間体ばかり気にしていたのに、ちゃんとアルヴィンとの物語を思い出しながら語れるようになるっていう、ひとつの成長物語、人間ドラマがそこにあるんじゃないかと思います。 ――そういう意味では、トーマスを通して見る要素の強い物語にも思えますね。 小野塚 お客さんは完全にトーマスの主観で物語に入ると思います。最初、アルヴィンって妖精というか、自分の頭の中にいる記憶の中の存在で、本を書く時とかに自分が理想とするキャラクターを自由に操るようなものなのかと思ったんですよ。でも実在する人物だったし、トーマスは身近にそういう人がいたおかげでベストセラー作家にまでなれた。たぶん、アルヴィンがいなかったらそもそも作家も目指してなかったでしょうね。 ――そういうトーマスと、小野塚さん自身は重なりますか? 小野塚 トーマスはすごく人間くさくて、真面目でいいヤツだと思います。力の抜き方がわからなくて、ストイックな人ほど壊れやすいというか崩れやすいのは、自分もそういう経験があるし、周りの人でも見てきていたりする。認められたいっていう欲、貪欲な承認欲求も含めて、共感できますね。