仙台大に東北の大学で初の「スポーツチャンバラ同好会」発足 “武道の精神”と“福祉”を学びながら競技力向上目指す
仙台大の部員もスポーツチャンバラに本格的に触れるのはこの日が初めて。主将の須藤かさねさん(3年)は「自分は元々剣道をやっていたんですけど、(剣道と)同じように見えて全然違っていた。シンプルで自由だからこそ自分で考えないといけないので、面白い反面、難しかったです」と率直な感想を口にした。 スポーツチャンバラは打つ場所に制限がなく、足から面まで、相手の全身のどこかに有効打を打ち込めば「一本」が成立する。打突部位の決まっている剣道とは似て非なるスポーツだ。剣道経験者であってもフットワークや視野の広さを身につけるのは必須で、須藤は「今回教えてもらったことがすごくためになったので、忘れずにこれから練習していく」と意気込んだ。
「教える」活動にも取り組み将来につなげる
中学、高校と剣道部だった須藤は、仙台大ではダンスと大学祭の企画、運営などを行う「学友会」の活動に精を出していた。それらと並行して、「ニュースポーツ」の授業で知ったスポーツチャンバラを新たに始めることになった。12月開催予定の全日本学生大会などで結果を残すことはもちろん、須藤には競技面以外にも思い描いていることがある。
「スポーツチャンバラは障害の有無や年齢、性別に関係なく、誰もが自由にできるスポーツ。『競技』の面だけでなく『福祉』の面も持っていて、子どもやお年寄りの方に教えるといろいろな効果が得られる」 スポーツチャンバラはレクリエーションの一環として行われることもあり、仙台大も今後、子どもらにスポーツチャンバラを教えるボランティア活動などの実施を予定している。須藤には「特別支援学校の教員になる」との目標があり、経験を将来に生かそうと考えている。同好会が発足したばかりの現段階では「楽しく、自由に」をテーマに掲げ、その魅力を老若男女に伝えるつもりだ。
監督の狙い「礼儀作法や人間形成を大事に」
当面は週1回程度の練習で実力を磨き、実績や活動期間を積み重ねて部への昇格を目指す。「原則として3年以上継続して活動していること」「定期的に活動が認められ、競技実績または活動実績が顕著なこと」「昇格後も安定した活動が見込まれること」などが昇格の条件だという。 南條監督は「剣道経験者かどうかは関係なく、誰でも楽しくやれるスポーツ。和やかな雰囲気で練習できるのではないか」と話す一方、「武道の精神に基づいて指導するので、礼儀作法や人間形成を大事にしたい。ただ勝てばいいというわけではない」と力を込めた。
「武道の精神」を育みつつ、競技を楽しみ、福祉を学べるスポーツチャンバラが、仙台大の活動を機に東北でどのような広がりを見せるか、今後に注目だ。
(取材・文・写真 川浪康太郎)