熊本市電で信号見落としなどのトラブルが相次いだことを受け、市が設置した第三者検証委員会は9日、関係者へのヒアリングやアンケートの結果を報告した。事務局からは、安全管理専門部署の設立などの再発防止策が示された。 　市は2025年度、安全確保や経営基盤強化を目的に、運行事業者と施設・車両の保有整備事業者を分ける「上下分離方式」の導入を予定。市が線路や車両を維持管理し、7月に発足した市公共交通公社が運行することになっている。 　検証委では、正規職員として採用することを説明したにもかかわらず、不安の声が多く寄せられたことが報告された。不安で運転や整備に集中できない状況が、トラブル続発の背景にあるとして、十分な説明を求める意見も出た。 　再発防止策は「人」「もの」「環境」「管理」に区分。職員採用の強化、計画的な車両の更新、勤務に負担のないダイヤ作成、安全管理専門部署の設立などが盛り込まれた。 　検証委は12月までに最終報告をまとめる方針。吉田道雄会長（熊本大名誉教授）は職員が不安を抱える現状について「意思疎通は難しい。（安全確保に向けた市の考え方が）伝わる組織づくりを提案したい」と話した。 　（藤崎真二）