「ビートルズ」「冴羽りょう」も惚れた!? 名車「ミニ」を愛した有名人たち 年末ドラマにも出るぞ!
革新的な設計で一躍注目の的に
イギリスを代表する小型乗用車「ミニ」は、長年にわたって多くの人々に愛され続ける傑作車です。その大きさから「庶民のクルマ」、大衆車というイメージが強いかもしれませんが、愛好家の中にはセレブリティも多くいました。今回はそんな「ミニ」の意外なオーナーたちを紹介します。 【激レア!】お尻突き出しデザイン「ミニ」セダン仕様です(写真) 「ミニ」が誕生したのは今から60年以上前の1959年です。開発したのはブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)ですが、モデル途中でメーカー名が変わったため、最終的にはローバーの1車種として販売されていました。そのため、ローバー「ミニ」の名称で馴染みのある人も多いでしょう。 同車が画期的だったのは、直列4気筒エンジンを横置きし、その下にギアボックスを配した“2階建て”構造にしてFWD(前輪駆動)レイアウトを採用した点でしょう。このような設計により、全長3m弱の小さなクルマでありながら大人4人が乗車可能な車内スペースを確保していました。 さらに軽量・コンパクトな設計を追求したことで、使い勝手の良さや経済性といった実用面だけでなく、高い運動性と優れたハンドリング性能を兼ね備え、運転が楽しめる小型大衆車であったことから、母国イギリスはもとより世界中の人々から熱い支持を集めたのです。 また、「ミニ」の特徴や革新性は設計や合理的なメカニズムだけではありません。特筆すべきはこのクルマが階級社会のイギリスで生まれたのにもかかわらず、地主や貴族などの上流階級から資本家や専門職などの中産階級、そして労働者階級まで、社会身分を問わず誰もが等しく乗れるクラスレスカーとしての成り立ちを持っていた点にあります。
「女王からメイドまで」庶民だけでなくセレブにも愛される
今でこそ、イギリスにおいても徐々に階級間の経済格差などは縮小しつつあるようですが、それでも各々の所属階級に応じて文化、職業、生活スタイルなどの違いは依然としてあります。もちろん、その格差は所有するクルマにも表れており、上流階級はロールスロイス、中産階級はジャガー、労働者階級はフォードやヴォルクスホール(ボクスホール)というように異なります。 ところが、BMC「ミニ」はこうした階級の垣根を越えて、すべてのイギリス国民に受け入れられたのです。これは前例のないことであり、伝統的なイギリス社会ではエポックメイキングな出来事でした。 最初に「ミニ」を買い求めたのは、このクルマの合理性と革新性を高く評価した上流階級やインテリ層でした。デビュー間もない頃の「ミニ」は、風変わりなデザインから販売の滑り出しは芳しいものではありませんでしたが、安価なコンパクトカーでありながら上流階級の人々が混雑したロンドン市内で乗るためのセカンドカーとして買い求めたことから注目を集め、やがてはクルマとして正当に評価されるようになったことで、徐々に中産階級や労働者階級にも普及していったのです。 こうした経緯からBMC「ミニ」は、庶民だけでなく世界のセレブリティにも愛されることになります。そのような「ミニ」を愛したセレブリティの中でも、もっとも社会的な地位が高いオーナーが故・エリザベス2世女王でしょう。女王は公務ではロールスロイスやディムラー(ダイムラー)を使っていましたが、プライベートで自らハンドルを握るときには、運転のしやすさから長らくBMC製のオースチン「ミニ」を愛用していたそうです。