【高校サッカー選手権】履正社、興國をPK戦の末に下し全国に王手
11月4日、第103回全国高校サッカー選手権大阪予選の準決勝がヨドコウ桜スタジアムで行われ、興國と履正社が対戦。PK戦までもつれた結果、1-1(PK:4-3)で履正社が勝利した。 【フォトギャラリー】興國 vs 履正社 立ち上がりに主導権を握ったのは興國だった。DF5國岡俊哉(3年)とDF的羽航人(3年)のCBコンビを中心にテンポよくボールを動かしながら、機を見て対角へのロングフィードを展開。突破力に秀でた右のFW10久松大燿(3年)とFW27安田光翔(2年)が履正社の3バック脇のスペースを突いていく。狙いは見事にはまり、前半6分には左でのスローインから抜け出した安田がゴール前にクロス。ファーサイドの久松がダイレクトで合わせたシュートが、DFに当たりながらもゴールネットを揺らし、幸先の良いスタートを切った。 追い掛ける展開を強いられた履正社はすぐさま3-4-2-1から4-2-3-1にシステム変更し、サイドをケア。「最初は失点から入ったのですが、みんなが応援してくれていたので、不甲斐ない結果では終われない。僕がボールを受けてから、ワンタッチで叩いて(攻撃の)リズム作っていこうと思っていました」。そう振り返るMF10玉山煌稀(2年)ら中盤の選手がパスを繋いで流れを引き寄せる。 ビハインドで試合を折り返したものの後半は完全に履正社のペース。「相手の背後を狙いつつ、足元を使える時は使っていこうと思っていた。ボランチを使うことで中央が空いてきていたので、中を使いながらサイドを使って良い感じで攻めることができていました」。MF8大重健二朗(2年)が話す通り、中と外を上手く使い分けることで相手ゴール前まで侵入する回数が増えた。 それでも、シュートまで行けずにいたが、「前半早々に失点してからはずっと自分たちの流れを作れていたので1点取れば絶対に勝機はあると思っていた」(大重)と選手に焦れる様子は見られない。すると、24分には大重が前線からのプレスで、相手DFがボールを奪うとこぼれ球を拾った途中出場のFW9兼原然(3年)が倒され、PKを獲得。兼原自らがゴール右隅に決めて試合を動かした。 同点に追い付いてからは攻撃の勢いが止まらない。「練習から鳥山、大重とはコンビネーションでの崩しが多い。この興國戦でも思い通りのプレーができました」と話すのは玉山で、中盤を構成する下級生たちが息の合った連携を披露し、中央を仕掛けていったが、1点は奪えない。38分にコンビネーションでの崩しから放った玉山のシュートもGKの正面に終わり、1-1で延長戦に入った。 延長戦で決着がつかず、迎えたPK戦ではGK12新宮尋大(1年)が活躍する。「高校に入ってからPKは苦手」と話すが、相手の癖や特徴をうまく見抜き、4本目と5本目のシュートを見事にストップ。1-1(PK:4-3)で勝利し、決勝行きのチケットをつかんだ。 今年はプリンスリーグで勝てない試合が続き、初戦突破すら怪しまれていたが、蓋を開ければ快進撃を続け、決勝まで進出。「今までは自分勝手にプレーする人が多くて、まとまれていなかった。でも、試合を重ねるごとにチームの一体感と勝ち切る力が付いてきて、強くなってきた。勝っているから、まとまっていった」。大重が口にする通り、大会前とは見違えるほど逞しくなっている。このまま頂点まで駆け上がれるか注目だ。 (文・写真=森田将義)