ボイストレーナーが講師 愛媛でダウン症の人向け「きこえとことばの教室」始まる
発声を教えるボイストレーナーが、言葉の発達に悩みを抱えるダウン症の人を対象にした「えひめ きこえとことばの教室」を、4月27日から八幡浜市で始める。声優やアナウンサー志望の人へのトレーニング方法を応用して症状の改善を図る。県内では、珍しい取り組みとなる。 講師を務めるのは、八幡浜市出身で、ボイストレーナーとして約9年間首都圏で活動している札辻静美さん(54)。声をより良くするトレーニングから発声トラブルの改善・リハビリまで幅広く声の悩みに対応する団体「声とことばの磯貝メソッド」(東京)で、レッスンスキルを習得した。 企画したのは、八幡浜市真網代の柳澤和子さん(53)。次男の天馬さん(18)がダウン症で、今春、宇和特別支援学校を卒業し就労継続支援B型事業所に就職した。しかし発語が不明瞭で、筆談でようやく伝わることもしばしば。柳澤さんは「自分の思っていることをうまく伝えることができず、本人、家族ともにもどかしさを感じてきた」と語る。 同じような境遇の人のためにも、大人でも受けられる言葉の発達を促すトレーニングを探していた。講師の札辻さんが同郷だった縁もあり、八幡浜市での定期的な教室開講を依頼した。 柳澤さんは3月末、八幡浜市で希望者向けの説明会を開催。ダウン症の子どもがいる4人の親が集まり、札辻さんからトレーニングの説明を受けた。 札辻さんが所属する「声とことば―」は、2018年7月からダウン症児に向けた音声言語改善プログラムを実施している。 母音が言葉の明瞭さを決めるといい「あ」「い」「う」「え」「お」の練習は最も重要。トレーニングでは骨を振動させて音を伝える骨伝導ヘッドホンを活用し、受講者が聞きやすい速度と明瞭度の高い音質で語りかける。プロのボイストレーナーが発する明瞭な五十音を間近で聴くことで、自分の口で言葉をまねしやすくなるという。
愛媛新聞社