大企業・製造業が2四半期ぶり小幅改善 6月の日銀短観
日銀が1日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が、大企業・製造業で前回3月調査から2ポイント改善のプラス13となった。改善は2四半期ぶり。価格転嫁の進展による収益環境の改善や堅調な設備投資が景況感の回復に寄与した。 【図解】年代ごとの非正規労働者の割合 一方、大企業・非製造業は前回調査から1ポイント悪化のプラス33だった。歴史的な円安や物価高でコスト負担が増したことが景況感を下押しした。悪化は2020年6月以来4年ぶりだが、旺盛なインバウンド(訪日外国人観光客)需要などが下支えとなって高水準で推移している。 業況判断DIは、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた指数。今回の調査期間は5月29日~6月28日。3月のマイナス金利解除や、6月初めに発覚したトヨタ自動車など大手メーカーの認証不正問題の影響が反映されている。24年度の想定為替レートは、全規模・全産業で1ドル=144円77銭。円安に歯止めがかからない状況を反映し、3月調査の141円42銭よりも円安となった。 大企業・製造業は16業種のうち9業種で改善した。業種別では「繊維」が11ポイントの改善となったほか、「化学」や「紙・パルプ」なども景況感の回復が目立った。一方、「自動車」は1ポイントの悪化。一連の認証不正問題が重しとなったとみられる。 大企業・非製造業は、12業種のうち5業種で悪化した。業種別では、物価高で日用品を中心に買い控えの動きが出ているため、食品スーパーなどの「小売り」が12ポイント悪化してプラス19となった。円安などに伴う原材料価格や人件費高騰で、「宿泊・飲食サービス」も悪化だった。 3カ月後の景況感を聞く先行きDIは、大企業・製造業が1ポイント改善のプラス14となった。大企業・非製造業はインバウンド需要の持続性に対する懸念などから、6ポイント悪化のプラス27だった。【浅川大樹】