【巨人】打撃イノベーション計画…ライバルの投球完全再現VRで弱点丸見え「スピード感とバットの軌道の位置関係が分かる」
巨人が来季への課題となっている打撃強化に向けて「VR=バーチャルリアリティー(仮想現実)技術」を用いた打撃トレーニングシステムの導入を検討していることが5日、分かった。実在の投手のデータをもとに特徴や球筋を映像で再現できる優れもので、今回は若手野手を中心に体験。今季、苦手とした投手への対策も可能となり、過去5年でワーストの本塁打&得点だった今季からの脱却にも役立つ可能性を秘める。今後、実際に体験した選手らの反応を集めながら、検討を進めていく。 【写真】画面に映し出されたVRの映像 生々しい反応が、優れた性能を物語っているようだった。4日にG球場の室内練習場には複数台のカメラを円形に設置。その中心ではゴーグルを着用した若手選手がバットを握り、外角の変化球に泳がされるようにスイングするなど、実戦さながらの動きを繰り返した。10月のオーナー報告で阿部監督が「(課題は)もう明確で。打てなかったからね」と語るなど、打撃強化を目指すこのオフ、「VR技術」を用いた“完全再現マシン”の導入が検討されていることが分かった。 今回は支配下、育成を含めた数人が体験。ゴーグルを着用すると、打席に立っているような映像が流れ、投手の投球に合わせてスイングができる。計測機器トラックマンによる投球データやフォームの映像があれば、特徴や球筋を再現することが可能。この日、165キロの直球とスイーパーがランダムに投げ込まれる、大谷翔平バージョンに挑戦した喜多隆介捕手(26)は「打てないっす」と苦笑。さらに「(投球の)スピード感とバットの軌道の位置関係が分かるのはいい。もっとこうした方がいいのかなということもあったので良かった」とメリットを明かした。 今回は体験してもらうことが目的で、選手の意見を聞きながら導入の検討を進めていく。仮に導入となれば、1軍にもメリットが見込めそうだ。今季は4年ぶりのリーグVを果たしたが、本塁打は昨季の164本から81本に、得点も昨季の523点から462点に減り、ともに過去5年間でワースト。中日・高橋宏やDeNA・東、広島・大瀬良ら苦戦した投手も多かった。その“天敵”に対しても、VRを用いれば球質や変化を完全再現することができ、対戦の少ない投手に対しても事前に対策を練ることが可能となる。 球団関係者は「プロ野球選手のすごい部分は、ボールに対応できる能力。例えば、全然打てなかったある球団の投手(のデータ)をVRに当て込むと、同じ球がくる。『こういうイメージだったな』とか『もう少しタイミングを早くすれば』など再現ができる」と説明。日本一奪還のカギを握る打撃強化に、VRが活用できる可能性を探って検討が進められていく。 ◆巨人が今季導入した主な最新機器 ▼トラジェクトアーク 東京Dに導入された映像付きの打撃練習用マシン。指定した投手の球速や回転率、変化量を縫い目の空気抵抗まで考慮して再現が可能。投手の映像も映し出されるため、より実戦をイメージできる。 ▼HACK ATTACK(ハックアタック) ジャイアンツ寮に併設されたトレーニング棟のラボラトリー(研究室)に導入。トラックマンなどの投手データを入力すれば、球質を忠実に再現できる。 ▼Hit Trax(ヒットトラックス) モニターで打球方向やスイング軌道を即座に確認できる機器。ジャイアンツ寮内のラボに導入されていたが、岡本の要望により東京Dにも設置された。
報知新聞社