関西演劇界に爪痕を残したチャーミングな女優・牧野エミ、いまなお語り継がれる彼女の魅力とは
■ 彼女を称える『エミィ賞』「名前さえ残れば」
そんな彼女は劇団解散後も舞台を中心に活動、また持ち前の明るさやキャラクターでバラエティやラジオのパーソナリティとしても活躍。しかし病に倒れ2012年11月、53歳の若さでこの世を去った。 若い頃からともに舞台を踏んできた川下は、「エミちゃんを偲ぶ会を毎年やっていたんですが、最初は盛り上がってもだんだん落ち着いてくるじゃないですか。それがちょっと寂しい、ちょっと耐えられへんところがあった・・・」と打ち明ける。 「エミィ賞ってつけたら、名前だけ残るじゃないですか。ずっと続いたら全く知らん世代の人が、一生懸命取り組んでくれる、もうそれだけでいいなと思うんです。牧野エミってこんな女優がいましたみたいな話から始まるんですけど、将来的には名前さえ残れば」と、その思いを話す。 『エミィ賞グランプリ』とは、「牧野エミをリスペクトし、彼女のようにスタイリッシュで芝居が巧くて、面白い女優を発掘し、応援する」べく2017年に誕生したコメディ演技を競うコンテスト。升毅が実行委員長を務め今年で6回目、これまで5人のNo.1コメディエンヌが誕生した。
■ ファイナリスト「誰が獲ってもおかしくない」
歴代の頂点に立ったコメディエンヌは、朝ドラ『舞いあがれ!』(NHK)にも出演したたくませいこをはじめ、杉野叶依、川久保晴、アサヌマ理紗、西原希蓉美ら。 コントと違って演劇的なコメディとは、「まず人を笑わすことができる脚本があって、それをちゃんと演技で実行できる役者がいるのがコメディの基本。その上で、この人が言ったら何でもおもろいわっていう魅力なりパワーがプラスされたら、さらに上の笑いになる。そういう意味でいうと、今回ファイナリストになった人たちみんなそれを持ってる」と川下。 さらに「誰が獲ってもおかしくないとはまさにこのこと」と評する『エミィ賞グランプリ2023』の決勝大会は、三原悠里(Cheeky☆Queens)、延命聡子(中野劇団)、澤井里依、七味まゆ味(柿喰う客)、福田恵(劇団レトルト内閣)、近藤夏子の6人がグランプリをかけて戦う。 牧野エミに続く今のコメディエンヌとして、演技力やコメディセンス、タレント性、清潔感、情熱などを兼ね備えた女優を見つけ出す同大会。日程は11月20日・夕方6時半から、「扇町ミュージアムキューブ」(大阪市北区)にて。チケットは前売3500円、当日4000円で、観客による審査投票権付き。