部下との関係性と成長を両立するマネジメント術 「優しさ」と「厳しさ」の適切なバランスとは?
だとすればたしかに、リスクを軽視していたということになるだろう。 一方(2)は、現在の著者のようなコンサルタントがとても重要視することだという。たとえば毎朝5分、10分遅れてくる部下がいたとする。何度注意しても「5分や10分の遅刻にそこまで言わなくても」と言い返されたとしたら、怒鳴りたくなったとしても無理はない。 言葉遣いには気をつける必要があるが、「徐々にできるようになればいい」ということではなく、「即刻ルールを守らせなければならない」ときは、なによりもインパクトが重要な意味を持つのだ。
■感情をコントロールして「叱る」方法 咄嗟のときであれば仕方がないかもしれないが、基本的に叱るときは感情をコントロールするべき。頭にきて唇が震えていたり、胸の動悸が激しかったりするときは、叱るのをやめたほうがいいということだ。 なぜならそういうときは、感情に振り回されてしまい、本来の目的である「叱る」がうまく機能しなくなるからである。 大事なことは、相手の行動を即刻変えることである。厳しく叱らないと相手がすぐに行動を変えないから、その手段をとるだけだ。叱ることが目的ではない。(23ページより)
ならば、「どのように感情をコントロールするのか?」という点が気になるところだが、そんなときは「演技をすればいい」のだと著者は述べている。事前に準備しておいたセリフと感情レベルによって、冷静に相手を叱るということだ。演技でやっていれば、感情に振り回されることがなくなるというわけである。 ■部下を「注意する」ために必要なルール 行動や意識を変えさせるために何度も言い聞かせる場合は、決して叱ってはいけない。そんなことをすると、ただの「ガミガミ言う人」になってしまうからだ。「叱る」と決断したら、一発で相手の行動を変えるつもりで臨むべきなのである。
もし何度も繰り返す必要があるなら、そんなときは注意する。「注意」だと「叱る」よりはインパクトが弱いが、そのぶんお互いが受けるストレスも少なくて済むわけだ。 「月間のKPIは君以外全員がやり切ってるんだから、君も必ずそうするように。いいね?」 できる限り、ニュートラルフェイス(真顔)で言おう。しかめっ面もダメだが、無理して笑顔を作る必要はない。 普段笑顔で接していれば、ニュートラルフェイスで注意するだけで、それなりにインパクトを与えることができる。(24~24ページより)