「ふるさと納税」突然のポイント付与禁止に批判が続出。自治体の“人気格差”が深刻な影響を及ぼす可能性も
所得は増えているのに、手取りは思ったほど増えていない……。最大の原因は、ひっそりと縮小・廃止された所得税控除と社会保険料の引き上げだ。さらに、今後も連発されるステルス増税の正体に迫る! ⇒【画像】ポイント付与禁止への反対署名を募る楽天
「ふるさと納税」もステルス増税が行われた!?
市場規模1兆1175億円、利用者1000万人超と活況を呈し、応募の締め切りが迫る年末の風物詩の感もある「ふるさと納税」を巡っても、ステルス増税が行われたという見方もある。 ふるさと納税とは、自分が応援したい自治体に寄付をすることで、税金の一部が控除される仕組みだ。ファイナンシャルプランナーの橋本絵美氏が解説する。 「利用者の大多数は返礼品が目当てで、ふるさと納税は“官製カタログギフト”の様相を呈しています。自治体の返礼品競争が過熱した結果、人気の熟成肉やお米も地場産品でなければならなくなったり、年々、締めつけが厳しくなっている。とはいえ、お得感は高い。さらに、ふるさと納税のポータルサイトを利用すれば、寄付金額に応じたポイントも付与されます」
ポイント付与の全面禁止は実質的な増税
節税・返礼品・ポイント付与と、3重にお得な制度だが、総務省は’25年10月から、ふるさと納税ポータルサイトでのポイント付与の全面禁止を宣言。ネット上ではポイ活民を中心に「実質的な増税だ!」と反発の声が上がり、ちょっとした騒動となった。 「まとまったお金を、返礼品目当てとはいえ複数の自治体に寄付するふるさと納税は、そもそもポイ活と相性がいい。特に、大手ポータルサイトの一つである楽天はキャンペーンの活用で最大46.5%もの付与率になる。ポイント付与を禁止されれば可処分所得が減るので、節税効果が半減してしまう。おまけに、ふるさと納税以外の買い物のポイントまで減る。税務当局ではない総務省による、事実上のステルス増税に等しい」
ふるふるさと納税が生み出す自治体の格差
日本最大の楽天経済圏だけに、被害者の数も莫大だ。だが、膨張するふるさと納税が深刻な影響を及ぼすのはポイ活民に限らないという。 「ふるさと納税は、都市部の潤沢な税収を地方に移動することを目的に、菅義偉総務相(当時)が’08年に創設しました。でも、現在は一部の自治体に寄付が集中し、格差が広がっている。格差は地方交付税交付金で穴埋めされますが、原資は所得税。今後も自治体の格差が拡大すれば、所得税増税の一因になりかねない」 たかがポイントと侮るなかれ。庶民の涙ぐましい節税の努力が水の泡だ。 【ファイナンシャルプランナー 橋本絵美氏】 はしもとFPコンサルティングオフィス代表。二種証券外務員。家計管理や暮らしの工夫を提案。お片づけプランナーとしても活躍 取材・文/週刊SPA!編集部 ※12月17日発売の週刊SPA!特集「家計を襲う[ステルス増税]一覧」より ―[家計を襲う[ステルス増税]一覧]―
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