松本若菜「わたしの宝物」最終回タイトルは多重ミーニング 「わたし」は2人いた
松本若菜主演のフジテレビ系ドラマ「わたしの宝物」は、19日の最終回で〝タイトル回収〟に絡む場面が見られた。 鳥類にみられる托卵になぞらえた、主人公の主婦美羽(松本)と幼なじみの冬月(深澤辰哉)の不倫から生まれた女児の栞、美羽の夫・宏樹(田中圭)を巡るドラマ。最終回は、離婚を思いとどまった宏樹が家に戻り、夫婦で栞を囲んで幕切れに。ここにタイトルのテロップがかぶされた。 このハッピーエンドに至る過程でも、それに関わるセリフが聞かれた。一度は身を引く覚悟を固めた宏樹は、美羽母子と冬月の〝親子動物園デート〟をアレンジ。冬月は栞について「夏野(美羽の旧姓)の宝物だ」と美羽に語る。その後、栞を抱かせてもらった冬月は美羽に「俺の子?」と核心質問。美羽は無表情でうつむき「違うよ。栞は私の子」。冬月は泣きながら「そうだよな、そんなワケないよな」と応じて立ち去った。 「わたし」は美羽、「宝物」は栞を思わせるシーン。ところが一転、ラストで「3人」は、冬月に代わって宏樹が入る構図になった。 ソファで栞を抱く宏樹に、美羽はあるものを差し出す。宏樹が栞を美羽に預けてそれを見ると、本にはさむ「しおり」だった。親子3羽に見える鳥のデザイン。「かわいい。大切にするよ」と宏樹。夫婦で互いに「愛してる」と言葉を交わした後、宏樹は「栞も愛してるよ」と顔を寄せた。 しおりはドラマのキーアイテム。美羽はしおりを作るのが好きで、冬月とのエピソードでも重要な役割を果たした。栞の名は「道しるべという意味。宏樹がつけた」と美羽が語っている。鳥についても同様で、自宅の鳥かごは毎回、意味ありげに映された。冬月から鳥好きの理由を尋ねられた美羽は「名前に羽がついてるからかなぁ」と答えた。 つまりは、栞を宝物にする「わたし」は美羽とともに宏樹でもあったことになる。冬月は「わたし」になれず、無念の除外に。しおりのデザインからは、「宝物」も娘だけでなく、夫婦や家族であることがうかがえる。 冬月もひそかに栞のことを「宝物」に思っているかもしれない。タイトルは多重構造をなしていた…。
東スポWEB