党員不適切登録の自民・田畑裕明衆院議員、社員が架空党員にされたか尋ねた社長に「党費はあなたが払ったことにして」
自民党の田畑裕明衆院議員(富山1区)に約100人の不適切な党員登録があった問題を巡り、党関係者に困惑が広がっている。党員名簿と党費は県連に集まるものの、厳密に誰が集めてきたかまでを県連では把握できないからだ。田畑氏が当初、関係者に説明した処理では政治資金規正法違反になる可能性が高く、田畑氏の今後の説明に注目が集まる。(川尻岳宏) 【図】田畑氏が企業社長に説明した党費捻出の構図
社員に総裁選の投票用紙
「9月に10人くらいの社員に党総裁選の投票用紙が届いたんです。1家族に7~8枚とか」。富山市内のある企業の社長は自身や社員が架空の党員になっているのではないかとの疑念を強めた経緯をこう説明する。投票用紙には実在しない人物宛ての書類もあった。
不審に思った社長は10月初旬、田畑氏に直接電話をして事情を尋ねた。すると田畑氏は架空党員の存在を認めた上で「党費はあなたが払ったことにしてほしい」と求めたという。
社長が「本当は誰が党費を払っているのか」と問い詰めると、田畑氏は「会社からの献金を充てている」と説明。田畑氏が代表を務める政治団体「富山県第一選挙区支部」の政治資金収支報告書(2022年分)を見ると、確かに収入欄にこの企業からの献金があるが、党費名目の支出は記載がない。もし田畑氏の説明が事実ならば、政治資金規正法違反(不記載)となる。
田畑氏は18日の記者会見で社長とのやりとりについて「臆測による見立てを話した」と釈明。党費の資金源については「調査中」を繰り返した。党富山市連の高田重信幹事長によると、田畑事務所は市連からの問い合わせに対して「ある支援者が社員を登録し、その人が亡くなった後は別の人が引き継いで払っている」と説明したという。
「本人が党費を払ったか確認できない」
自民党の党費は一般党員が年4000円、家族党員が年2000円。田畑氏が主張する“不適切な登録の党員”が約100人いるなら、年間30万円程度が必要と推測される。これは前述の企業が支部に献金した額よりもはるかに多い。
後援会のある幹部は「収支が大きくずれるような虚偽記載ができるとは思えない。どうやりくりしているかは田畑氏にしか分からないが、政治資金と党費は別で管理していたと考えるのが自然だ」とする。