アクティブ運用の新興国ETFに資金殺到-割安株探す投資家引き付け
(ブルームバーグ): 投資家が世界中で割安な株式を探す中、人気が高まっている投資対象の一つは、新興国市場に特化したアクティブ運用の上場投資信託(ETF)だ。
ブルームバーグ集計のデータによれば、3480億ドル(約52兆7000億円)規模の新興国資産ETF市場で、アクティブ運用がファンドの保有資産全体に占める割合は約5%にすぎない。しかし、こうしたアクティブ運用ETFが新興国市場に流入する新規資金に占める割合は、ここ1年間では3分の1を上回り、ここ1カ月では50%を超えている。
アクティブ運用の新興国市場ETFを購入するマーサー・アドバイザーズ・インベストメント・マネジメントのドナルド・カルカニ最高投資責任者(CIO)は「よりシステマチックなアクティブ運用手法を取る必要不可欠な状況があるとしたら、それは今だ」と指摘した。
新興国株へのシフトの理由は多くある。ブルームバーグ集計のデータによれば、新興国株は米国株に対して約43%のディスカウント水準にあり、バリュエーションの格差は過去最大近くとなっている。
このバリュエーションの格差は、海外投資をほとんど行っていない投資家を含めたウォール街の一角にとっては、新興国株が割安だというシグナルになっており、新興国株を大量に購入する絶好の機会を提供している。
投資家が新興国市場ETFに資金を投じているのは、比較的低い手数料などが理由だ。これを受け、アクティブ戦略がパッシブ戦略よりも高いリターンをもたらすことができるかを巡る議論が再燃している。
ブルームバーグ集計のデータによると、ここ1年間にアクティブ運用の新興国市場ETFに向かった資金の95%余りが、アバンティス・インベスターズやディメンショナル・ファンド・アドバイザーズが運用するファンドに流入している。
アバンティスやディメンショナルのETFは、手数料が業界平均より低いほか、パッシブ運用のベンチマークをアウトパフォームした実績を持つ。これら二つはアクティブ運用を批判する人にとって重要なポイントだった。