【Amazon、ECの経済的影響を発表】70%超が「幅広い商品」「迅速な配送」を評価
Amazonは11月5日、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)による「Eコマースの普及が企業と消費者にもたらす経済的影響」について紹介した。回答者の70%以上が幅広い選択肢と迅速な配送を評価し、文化的な豊かさと暮らしの満足度を実感していることなどを紹介した。 【画像6点】GLOCOMの調査結果 日本国内でのオンラインショッピングの利用率は高まっており、総務省統計局の「2023年 家計消費状況調査」によると、2023年は日本の50%以上の世帯がオンラインショッピングを活用したと推定している。 これは10年前と比較すると倍以上の利用率であり、オンラインショッピングは今日、人々の生活にとって不可欠な存在であるとしGLOCOM(アマゾンジャパンからの委託研究)が実施した「Eコマースの普及が企業と消費者にもたらす経済的影響」調査についても公開した。 2024年8月に、全国の20歳以上の男女10万人を対象に実施したこの調査では、Eコマースは企業、とりわけ中小企業の成長を促進し、オンラインショッピングによって消費者は文化的豊かさと生活満足度が向上することがわかったとしている。 この調査における企業に焦点を当てた設問では、Eコマースは多くの企業の売上成長率を引き上げる効果があること、従業員は継続的にデジタルスキルを習得し、結果として生産性が向上することが明らかになった。過去1年~9年の間でEコマースを開始した企業では、開始前と開始後の売上が平均して年に1.6%上昇していることがわかった。小売業(EC実施の有無にかかわらず)の2015年~2023年の売上増加率の中央値は-0.08%であることと比較すると、Eコマースの成長率が顕著なことがうかがえる。 企業規模で見ると、Eコマースを始めた従業員100人未満の中小企業の年間の平均売上増加率の上昇幅は2%で、大企業の上昇幅1.4%よりも高く、中小企業の方がEコマースによる恩恵が大きい結果となった。 調査結果は、Eコマースの導入が販売データの管理・分析、デジタルマーケティングなど従業員のデジタルスキルや知識の開発に効果的な手段であることも示している。過去3年以内にEコマースを開始した企業の従業員は、平均して2つの新しいデジタルスキルを習得し、その後もEコマースの実務を通してスキルを取得し続けているのに対し、Eコマースを開始していない企業の従業員のデジタルスキルの習得はほぼないという結果となった。 さらにEコマースの開始後、企業の売上増加率は年に1.6%底上げされる一方で、平均労働時間が月1.3時間減少しており、Eコマースが生産性の向上につながることも明らかになった。 GLOCOM 主幹研究員 田中辰雄氏は、これらの結果を受け「調査結果は、日本企業がEコマースを効果的に利用して事業成長を遂げていることを示しています。小売業が過去9年間で成長の変動があった中で、Eコマースが一貫して小売業全体の売上増加を牽引していることは特筆すべき結果です。調査結果から、Eコマースは中小企業の売上と生産性を向上させ、それにより企業は得た利益で従業員のスキルアップを図り、事業を継続的に成長させていることが読み取れます。Eコマースはリソースに限りがある中小企業にビジネス成長の循環をもたらしていると言えるでしょう。Eコマースを通して、日本企業がさらなる成長を遂げ、日本経済の発展につながることに期待しています」と述べた Amazonにおいても多くの中小事業者が商品を販売しており、2023年に日本の販売事業者がAmazonで販売した商品個数は、前年比で10%以上増加した。 一方、消費者に焦点を当てた部分では、過去1年間にオンラインショッピングを始めた人を対象にした設問で、消費者が感じているオンラインショッピングの最大のメリットは「利便性」であることがわかった。回答者の80%以上が、いつでもどこでも簡単に買い物ができること、約70%が商品の迅速な配送を利点だと感じている。 また、回答者全体では、主要な商品カテゴリー(書籍、日用品、家電製品、美容・ヘルスケアなど)において、オンラインショッピングの方が小売店よりも平均して3~6%強程度安く入手できると回答した。さらに回答者の70%が「幅広い商品にアクセスできる、バラエティの豊富さ」、約半数が「高品質な商品を入手できる」ことをオンラインショッピングのメリットとして実感していることがわかった。 文化的な側面からの質問として、普段の生活や地元の商店では見つけることが難しい本や、地方の珍しい食材との出会いなどを例に挙げ、オンラインショッピングを通じた文化体験についてたずねたところ、8割が「文化的豊かさ」を感じるようになったと回答した。また8割が「暮らしの満足度が上がった」と感じているなど、オンラインショッピングが消費者の生活の質の向上に貢献していることが明らかになった。 これらの結果について、GLOCOM 主幹研究員 田中辰雄氏は、「Eコマースは、私たちの社会や文化に新たな価値をもたらしました。利便性や価格、商品の幅広さに加え、珍しいあるいは、見つけづらい商品を購入できる喜びから得られる文化的価値も注目に値します。特に地方部においてメリットは大きいと考えられます。調査ヒアリングの中である地方在住の方が、オンラインショッピングのお陰で医療と教育を除き、地方生活では不利・不便を一切感じないと述べていたのが印象的です。消費者はオンラインで何でも手に入るため、Eコマースは地域間の格差を解消し、消費者が文化的に豊かな生活を送ることに一定の貢献を果たしていると考えられます」とコメントした。
日本ネット経済新聞