身長差30センチ 天理・達の快投導く政所の配球 選抜高校野球
第93回選抜高校野球大会は第6日の25日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で2回戦があり、2年連続25回目出場の天理(奈良)が健大高崎(群馬)を4―0で破り、第80回大会(2008年)以来のベスト8に進んだ。 【天理と健大高崎の熱闘を写真特集で】 雨がやみ、日が差し込んだ午後の甲子園に、乾いたミット音が響いた。天理の右腕・達が二回に健大高崎の4番・小沢に投じた4球目は自己最速を1キロ更新する147キロ。それまで変化球が不安定だったが、捕手の政所(まどころ)は「真っすぐでどんどんいこう」と確信を持てた。直球中心の強気のリードをすると決め、同じ回には148キロも計測。達を気持ちよく投げさせ、27個のアウトの大半を直球で奪う2安打完封に導いた。 肩でも達を助けた。唯一、イニングの先頭打者に出塁を許した四回の守備だ。2番・吉里に安打を許して無死一塁。1死後、小沢の打席の初球に二盗を仕掛けられたが、「自分が慌てたらみんなが慌てる」と、針の穴を通すような正確な送球で盗塁を阻止した。走塁で重圧をかけてくる相手の代名詞「機動破壊」を防いで一つの盗塁すら許さず、達は「しっかり刺してくれて、自分の流れに乗れた」と感謝した。 193センチの達と163センチの政所の凸凹バッテリーは、昨秋の段階では達が主導して配球を考えていたが、一冬越して役割が交代。健大高崎の打者の動画を繰り返し見て研究し、きっちりとリードした政所に達は「ほとんど首を振らなかったし、心強い」と語った。 「甲子園で試合をすると成長するんだなと思った。リードが良かった」と中村監督。注目を集めるエースを支える扇の要の成長は、チーム力を確実に高めている。【田中将隆】 ◇全31試合を動画中継 公式サイト「センバツLIVE!」では、大会期間中、全31試合を中継します(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2021)。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/senbatsu/)でも展開します。