イタリア×日本のアパレル 客を引きつけるワケとは?
テレQ(TVQ九州放送)
東京・渋谷。喧噪から離れた路地裏の雑居ビル。そこで開催されていたのは、アパレルの1日限定の販売会。 「『巻スカート』なんだね。めちゃくちゃかわいくない?」 客をときめかせたのは、巻スカート。鮮やかなカラーに、大胆な花柄があしらわれたデザイン。 「日本になかなかない柄なので、すごく魅力的」 客層は20代から40代。1枚4万円ほどと高額ですが、オープンから2時間で81万円を売り上げました。デザイナーは、大河内愛加(おおこうち・あいか)さん。ブランド名は、「レナクナッタ」。”使わ”レナクナッタの意味。 なぜなら、イタリアの”売れ残り生地”、いわゆるデッドストックを使っているから。 さらにもう片面は、こちらも売り物にならなくなった日本の着物生地。使われなくなったイタリアと日本の伝統的な生地を活用し、「巻スカート」という”日常着”に落とし込んだんです。 先月、大河内さんはイタリアにデッドストック生地の買い付けに行きました。ミラノの北、高級ブランド御用達の生地メーカーが集まる町。2年に一度、こうやって倉庫に眠る”余り生地”を買い付けます。 大河内愛加さん 「ミスプリントとかで選ばれなかったり、ブランドに使われなかったもの、色んな条件でデッドストックになってしまったものを仕入れて、日常に溶け込むもの(を作るように)心掛けています」 京都市内に、「レナクナッタ」の運営会社はあります。始めたきかっかけは、10年以上暮らしたイタリアでの経験にありました。 「古い物を特別な物として愛でる文化がイタリアにはあったので、色んな人が大切にしてきた物を残す一員になれたら良い」 だから、レナクナッタにはもう一つ、「作られなくなった」の意味もあります。衰退する伝統工芸の復活にも取り組んでいるのです。手を組むのは、高級織物「丹後ちりめん」のメーカー。「丹後ちりめん」の生産量は、この50年で、およそ60分の1に減少しています。そこでこのメーカーは、本来の絹ではなく、「ポリエステルを使った丹後ちりめん」を開発していました。凹凸の大きさが、その特徴です。その特徴を生かし、丹後ちりめんに「日常着」の用途を見いだしたのです。 「レナクナッタは、オンラインの販売ページで、商品だけじゃなく、製作背景や歴史を発信している。それにより”モノ消費”から”コト消費”への流れをうまくキャッチして、多くの消費者にストーリー性が共感されて、決して安くはない価格でも売れる状況をつくっている」 「ブランドでありメディアである、というのをすごく心掛けていて、お客さんが伝道師みたいな形で広めて、その人のコミュニティの中でまた広がって、文化が広まっていったらいい」
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