【10万人に1人】病気と生きる車いすの花嫁、次なる夢は“新しい家族のカタチ”
全身40カ所に麻酔注射を打ち続けながらも、真摯に努力を重ね、自身の力で“夢”を叶え続けてきた塚本明里さん。素敵な縁にも恵まれ、5月に“結婚”という夢を叶える。新たな門出を迎える彼女が、次に抱いた未来の“夢”とは。 【動画】ウエディングドレスを着る明里さん
高校2年生に発症、痛みを記録した「痛み日記」
岐阜県可児市で暮らす塚本明里さん。彼女と出会ったのは、2013年1月。明里さんが23歳の頃だった。“ある病気”の影響で、一日のほとんどを横になって過ごしている明里さん。「体がこわばって痛くなっちゃう。疲れちゃうし…」と、かぼそい声で自らの症状を語ってくれた。 極度の疲労感や長時間、頭を起こしていたり、立っていることができないなどの症状がある明里さんの病気。それが、「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群」だ。原因不明の病で、国内ではおよそ10万人の患者がいると言われている。
病気を発症したのは、2006年5月。当時、高校2年生だった明里さんは、テスト中、突然動けなくなってしまった。その後、頭痛、めまい、失神、脱力感などありとあらゆる体調不良に悩まされ、内科、婦人科、神経内科、挙句の果ては精神科にも受診。その間、自らの病気の症状を記録する「痛み日記」を書くようになった。
「本当にしんどい!苦しい!」「体を脱ぎたい!」
周囲から理解されにくく、自分の身に何が起きているかさえ分からない孤独な闘いの日々。そして発症から約1年半後、ついに16人目の医師によって、「筋痛性脳脊髄炎」の診断を告げられた。さらに、明里さんは全身に激しい痛みが走る「線維筋痛症」も発症していたことが発覚。2つの病は今もなお、原因も治療法も明らかになっておらず、“難病”指定も受けていないのが実情だ。
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群に詳しい『国立精神・神経医療研究センター』の山村隆部長は、「一般の医療機関にこの病気に対する認識があまりない。知識が普及していないというところがある」と語る。しかし一方で、病気の原因などを調べるには、あと10年や20年はかかるとしながらも、「病気の息の根を止める、そういう時代が急にやってくるような気がしますね。今、ちょっと“夜明け前”っていう感じではおります」と病気の研究が進んでいることを示唆した。