買い材料にあふれているブローザホーン

［ＧⅠ宝塚記念＝２０２４年６月２３日（日曜）３歳上、京都競馬場・芝外２２００メートル］ 　雨で泥んこになった馬場をディープインパクトが切り裂いた伝説の２００６年を引き継ぐ馬は？　今年の宝塚記念（２３日＝芝外２２００メートル）は１８年ぶりに京都競馬場で行われるのが特徴的。大本命ドウデュースはディープの足跡を追うように、同じ鞍上・武豊を背に、凱旋門賞への壮行レースにしようとしているが、果たして鉄板なのか？　答えは「否」。狙うべきはブローザホーン。この馬は買い材料にあふれている。 　今年の上半期グランプリのトピックといえば、阪神競馬場の改修工事による１８年ぶりの京都開催。ここが馬券のキモにもなる。果たして、舞台替わりを最も喜んでいるのはどの陣営なのか？　それが、断然人気のドウデュースでないことは明らか。本来の阪神芝内２２００メートルなら、昨年の京都記念で圧巻の０秒６差Ｖを決めており、すでに適性は証明済み。対して、京都は競馬場そのものの参戦が初めて。名物とされる３コーナーから４コーナーにかけての坂の下りは高低差が外回りで実に４・３メートル。特殊な舞台を初めて経験した馬が四苦八苦し、レース後「走りがぎこちなかった」と陣営が嘆いたケースは案外少なくない。 　京都得意といえばプラダリアやディープボンドあたり？　いや、〈２・１・０・１〉のコース適性の高さの他に加点材料がもう２つあるブローザホーンを狙うべきだ。 　ひとつは、この時季。「梅雨シーズンに入ってくるこの時季はブローザホーンにとって有利。道悪を得意にしているから」と田嶋助手。不良で行われた宝塚記念と同舞台の３勝クラス・烏丸Ｓを５馬身差で圧勝し、稍重だった昨夏のオープン・札幌日経ＯＰは６馬身差の圧倒Ｖ。今年のメンバーで道悪適性は頭ひとつ抜けている。過去１０年で稍重施行が４年あり、そのすべてで１番人気が敗れている宝塚記念。降水確率が上がれば上がるほど、ドウデュースに隙が生まれ、逆にブローザホーンの激走確率は上がる。 　もうひとつは〝血の勢い〟。今年の重賞でエピファネイア産駒はキズナ産駒と並んでトップタイの８勝を挙げており、ＧⅠではトップの３勝（桜花賞・ステレンボッシュ、ヴィクトリアマイル・テンハッピーローズ、日本ダービー・ダノンデサイル）をマークしている。キズナ産駒の当たり年と言われることが多い今年だが、実は最も当たっているのはエピファネイア。そして、宝塚記念で唯一の同産駒がブローザホーンなのだ。 　３２００メートルの前走・天皇賞（春）で後方を追走していた馬が２２００メートルに対応できるのか？　これも問題なしだ。「阪神大賞典（３着）で思いのほかひっかかったので、前走（天皇賞・春２着）はメンコを着けてハミを替えて臨んだら、今度は逆に折り合いすぎていた。外を回って２着に来たのは負けて強しだったと思う」と田嶋助手。「今度、メンコを外すかどうかは馬の直前の状態を見て考えることになるでしょう」と話しているが、おそらくは取ってブーストをかけた中距離仕様で挑んでくるはず。「最近の走りを見れば一線級相手でも楽しみを持って挑める」。〝警笛〟はすでに鳴らされた。断然人気ドウデュースを倒すのは同世代のブローザホーンに他ならない。