104歳、石井哲代さんが愛されるのは”聞く力”にあり。自慢話も聞き役になります
人生100年時代、ひとり暮らしをするシニアが増えている昨今、多くの人の暮らしに注目が集まっています。なかでも、今年104歳になった石井哲代さんの人暮らしぶりがたちまち人気に。哲代さんがみんなから愛される秘けつとは? 書籍『103歳、名言だらけ。なーんちゃって 哲代おばあちゃんの長う生きてきたからわかること』(文藝春秋刊)から、哲代さんの基盤をつくる聞く力の大切さについて抜粋でお届けします。
哲代さんが語る、老いてこそ必要な「聞く力」
人の話は一生懸命に聞きます。 内容に聞き入るというより、相手の人のことを思うんですね。そう言ったらいかにも偉そげですが、どうしてこうした気持ちかな、繰り返し言いたいんかなって。 相手がしんどい思いを抱えとったら、聞いてあげることでその人が持っとるものが軽うなるんですよね。なにを手助けできるわけじゃないが、発散できる相手がいるというのも大事なんじゃろうと思います。 私が若いときは、愚痴や悩みを打ち明けられる人がおらなんだからなあ。仕事しとりましたし嫁の立場ですけえな、そう明け透けにモノが言えません。だから自分で自分を慰めていくしかしょうがなかったです。自分の心の中で、時間かけて消化するっていうんかな。
人の自慢話をついひがみたくなったときの対応
初めて会うのに自慢話ばっかりする人もおってです。ほうねほうね、そりゃえかったねえと聞いていれば気持ちよくなってくださるが、ときにチクチクとこっちの胸に刺さることを言いんさる。「娘がようしてくれて」とか「孫がかわいいて」とか。 私みたいな子どもがおらん者は「幸せばっかじゃん」ってひがみたくなります。でもそこはぐっとこらえて、心得て。「この人も、なにかおもしろくないことや、ものたりないことがあるんかもしれんなあ」なーんて考えながら聞かせてもらうんです。 やっぱり「場」の雰囲気が大事です。まあるくて、そこにおって安心できる空気っていうんかな。そういう場が私は好きじゃし、人が寄ってきてくださる。聞き役になる人の心が、そんな場をつくっていくんじゃと思うんです。
ESSEonline編集部