久々に党首討論 「ピザ」「非戦闘地域」で応酬の過去 近年は「カップラーメンより短い」
岸田文雄首相(自民党総裁)が野党党首と1対1形式で論戦する党首討論が19日、令和3年6月の菅義偉政権以来3年ぶりに開かれる。党首討論は首相に「反問権」を与え、国会のディベートを活性化させる目的で平成12年に正式導入された。衆院解散を誘発するなど見せ場も作ったが、近年は野党の乱立で各党党首の持ち時間が少なくなり、深い議論が展開されているとはいいがたい。開催頻度は激減し、形骸化しつつあるのが現状だ。(肩書は当時) ■「温かいピザがおいしい」 平成11年11月に試行的に実施された初の党首討論は、民主党の鳩山由紀夫代表が小渕恵三首相に挑んだ。 鳩山氏は冒頭、「きょう首相は何を召し上がったか。私は温かいピザをおいしくいただいた」と尋ねた。小渕氏は「日本食の食事をした。冷たいピザもまたおいしいといわれたことがある」と答えると、鳩山氏は「冷たいピザがおいしいとは思わない」と返した。 鳩山氏がピザを持ち出した背景には、米メディアが小渕氏の資質を「冷めたピザ」と例えて流行語となったことに加え、党首討論の導入にあたって参考にした英国議会の「クエスチョンタイム(QT)」で、最初に「今日のこれからの予定」を尋ねる慣習を意識したとみられる。 小渕氏は英国議会のビデオを取り寄せ、入念に勉強し、鳩山氏もストップウオッチを持ち込んで、発言時間を計りながら首相に挑んだという。ただ、「ピザ」を巡る応酬以外に話題になる内容は乏しかった。 ■「活動している地域が非戦闘地域」 16年11月の党首討論は、イラク・サマワに駐留する自衛隊を巡り、イラク復興支援特別措置法(イラク特措法)が定める「非戦闘地域」が主な争点となった。 民主党の岡田克也代表は小泉純一郎首相に対し「イラク特措法における非戦闘地域の定義を言ってほしい」と尋ねた。小泉氏は「定義」については回答せず、「法律上、自衛隊が活動している地域は非戦闘地域だ」と論理が逆さまの説明に終始する。 代わりに岡田氏が非戦闘地域の定義について「現に戦闘行為が行われておらず、かつ1年間戦闘行為が行われることがないと認められる地域だ」と説明した上で「この1年間サマワで戦闘行為が行われない根拠はなにかと聞いている」と問うと、小泉氏は「将来のことを100%見通すことはできない。自衛隊の活動している地域は非戦闘地域である。これは法律の趣旨だ」と重ねた。