遺族厚生年金「50歳代以下は5年間で打ち切り」遺族厚生年金の改正案をわかりやすく解説
遺族厚生年金は、夫婦で暮らす世帯の主たる生計維持者と死別したときに受け取れる年金です。 ◆【写真3枚】遺族年金はどう変わる?改正後の遺族年金を図表でチェック 専業主婦が多かった過去の社会情勢を反映して女性に有利な制度となっていることから、男女格差の是正に向けた制度改正が検討されています。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
遺族厚生年金とは?
遺族厚生年金は、主たる生計維持者と死別した際に、配偶者が速やかに就労し生計を立てるのが困難であるとの前提から、もともと配偶者であった方に支払われる年金です。 現行の受給要件はつぎの通りとなっています。 1.厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき 2.厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき 3.1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡したとき 4.老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき 5.老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき このほかに、受給者側の年齢も要件となりますが、この点についてはこのあと詳しく紹介します。 なお、受け取れる金額は、死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の金額です。遺族厚生年金は、遺族の経済的安定を維持する重要な役割を果たす制度となっています。
現行の制度には男女間格差がある
さて、現行制度においては、子どもがいない世帯における、受給権について男女格差があります。端的にいうと男性が配偶者のときより、女性が配偶者のときの方が有利な制度設計となっているのです。 女性の場合は、30歳未満でも5年間の有期給付が受けられます。さらに、30歳以上の場合は終身で年金を受け取れる制度となっています。これに対して、男性は働いて生計を立てられるとの前提から、55歳未満では受給権が発生しません。 このほかに、女性(妻)は40歳~65歳未満で夫と死別したときに「中高齢寡婦加算」を受けられます。具体的には年額61万2000円が受給額に加算されます。近年は女性の社会進出が進んでいるなか、時代にそぐわない制度となりつつあるのです。 ちなみに、子どもがいる世帯については、現行でも男女間格差はありません。20歳代~50歳代の世帯において、子どもが18歳に到達する年度末まで、性別にかかわらず遺族厚生年金を受け取れます。