パナソニックのリファービッシュ事業本格参入で始まる「劇的な市場変化」
消費者と社会を巻き込んだ大きな渦となるかーーパナソニックは2024年4月10日からリファービッシュ事業「Panasonic Factory Refresh」をスタートさせている。 リファービッシュとは「整備・修復された」という意味で、出荷・販売されたのちに様々な事情でメーカーに戻ってきた製品を、整備して再び販売することを指す。近年拡大している市場だ。 「Panasonic Factory Refresh」の場合は、店頭展示品、初期不良品、Panasonic Store Plusの家電サブスクのアイテムが該当。リファービッシュ品自体の販売は2023年12月から始まっていたが、今回、Panasonic Factory Refreshという名称で本格的に事業としてスタートさせた形だ。 リファービッシュ品は消費者にとって、年式の浅い製品を安く買える直接的なメリットがある。しかし、実際に取材してみると、Panasonic Factory Refreshは小売店や家電販売店、地域・自治体を巻き込んだ大きな社会変化を起こす可能性があることがわかってきた。本稿では、Panasonic Factory Refresh(以下PFR)によって起こるメーカーの変化、さらには今後起きると予想される劇的な環境変化を掘り下げていこう。
①消費者の選択肢が増える
PFRは検査済み再生品ということで、新品価格よりもお得に購入できる。例えば、2023年モデルのドラム式洗濯乾燥機「NA-LX113CL」の場合、新品価格は21万8790円だが、PFRで確認できた製品は17万5100円。約20%も安い。パナソニックによるとあくまで目安だが、この例同様に、20%程度安い価格設定になるという。 このほかにも消費者にはメリットがある。環境負荷低減に貢献できる点だ。環境負荷低減を謳う製品は、近年多くのメーカーから登場しており、消費者もそうした製品を選ぶ傾向が高まっている。ただし、その多くは付加価値型製品に位置付けられる。環境負荷を低減した分が価格に上乗せされているケースが多い。一方、リファービッシュ品であれば、廃棄品を削減し、新品を製造する機会を減らせるので、資源の節約、CO2削減につながる。 また、新しい選択肢ができる点も魅力だ。特に大型家電の場合、長く使うからワンランク上の機種を買いたいが、新品価格では予算オーバーというケースはよくあるだろう。狙っている機種を購入できる選択肢が増えるのだ。PFRの場合、1年の延長保証が付くため、アフターケアの面も安心だ。