中国軍とインド軍の兵士が菓子交換…にらみあうカシミールの実効支配沿いで部隊の撤収完了
【ニューデリー=浅野友美、北京=東慶一郎】インド軍と中国軍は30日、両国間の国境が画定していないカシミール地方で進めてきた部隊の撤収を完了した。印軍関係筋が本紙に明らかにした。2020年に同地方のガルワン渓谷で両軍が衝突してから続いていた緊張の緩和への一歩となった。
印軍によると、撤収したのは、事実上の国境となっている実効支配線沿いのデプサンとデムチョクで、一両日中に両国による巡視が再開される。巡視の人数や頻度を協議中という。
巡視は定期的に行われていたが、20年の衝突以降は両国の部隊が近付くと小競り合いが起きる恐れがあり、中断していた。10月21日に印側が中国と巡視を巡って合意したと公表した。
31日はヒンズー教の新年を祝う「ディワリ」で、国境地帯では両軍の兵士が菓子を交換し、関係改善を演出した。中国国防省の報道官も記者会見で「印側が中国と協力し、国境地帯の平和と安定を共に守ることを望む」と述べた。