「コボ、コボ、コボ」…舞妓さんが響かせる音色から名付けられたものとは?
コボ、コボ、コボ……。石畳に 舞妓(まいこ)の足音が響く。舞妓が履く厚底の 下駄げた は、その音から「おこぼ」と呼ばれるようになったという。 【写真】江戸後期の文献では「こっぽり下駄」と記される
祇園の履物店「 丶(ちょぼ)や」のおこぼは高さ12センチ。底の内部が空洞にくりぬかれ、足音が共鳴する仕組みだ。
桐きり 材の加工、台の上に張る畳表と鼻緒作りは分業で、店では鼻緒をすげる。店主の桜井功一さんは「桐は2~3年乾燥させる。製作に年月と多くの職人の手がかけられている」と言う。
花街・祇園甲部で3年前にデビューした舞妓・華奈子さんは「最初はこわごわ歩いていたんどすけど、今は慣れて坂道でも歩けます」と話す。新人は内部に鈴を付け、チリチリという音が初々しさを醸す。華奈子さんは2年目に取れた。「かわいらしいので残念でしたが、少しお姉さんになったなと感じました」
鼻緒は最初は赤で、年長になるとピンクや青、緑、山吹色になる。華奈子さんはまだ赤で、変わる日を楽しみにしている。足元にも成長を実感させる花街の知恵が息づく。(編集委員・木須井麻子)